進むクラウド化、デジタル化―最新会計ソフト活用で業務効率アップ

個人事業主だって「節税」したい――税金の計算方法を紹介しよう増税サバイブ術(6/7 ページ)

» 2013年02月26日 08時00分 公開

経費を増やす方法

 具体的に経費を増やす方法を考えてみよう。基本は仕事に関係する経費を漏らさないこと。チリも積もれば山となると考え少額な領収書も年間を通じて集めればそれなりの金額となる。キッチリ帳簿を付けていれば年末が近付くとある程度収支が見えてくる。もうかっているなと思ったら積極的な節税を考えたい。

 簡単な節税は消耗品を購入することだ。消耗品と聞くと電池とかプリンタのインクとか減るものを想像しがちだが、この場合の消耗品とは10万円未満または使用可能期間が1年未満の少額減価償却資産のことだ。10万円未満の備品と理解すればいいだろう。

 PCやタブレット、ハードディスク、スキャナーなどの周辺機器も10万円未満で買えるものは多い。無駄遣いは意味がないのであくまで仕事に使うもの、事業に有益なものを購入しよう。浮き沈みの激しい事業をしている人はもうかったときに仕事の環境整備をしたい。

 本当に欲しいものが10万円以上する場合は少し事情がことなってくる。10万円以上のモノは固定資産となり、例えばクルマなどは長期間使用するので、購入したその年から数年に分割して経費計上する。これを減価償却という。

 固定資産はそれぞれ耐用年数=使用期間が定められていて、普通車は6年、軽自動車は4年、2輪車は3年、PCは4年、カメラは5年などと定められている。減価償却資産の耐用年数表にはトンネル、馬、リンゴの木、電車、野球場のスタンド、光ファイバー、ヘリコプター、消防車など細かに年数が記載されている。

 年の後半に「今年はもうかったからガッツリ節税するためにクルマを買い替えよう」と思ってもそう簡単にはいかない。減価償却は月割りで計算するので、もし360万円のクルマを買っても12月納車なら6年=72カ月なので72分の1(1カ月分)の5万円しか経費にならない。これでは消耗品を買ったほうが節税効果が高くなることもありそうだ。

 では10万円以上のモノを買っても大きな節税にならないのかというと、20万円未満、30万円未満の資産は耐用年数とは別に経費として計上する方法がある。

 10万円以上20万円未満の資産は一括償却資産として3年で均等に割って償却することが可能だ。例えば18万円のカラーレーザープリンタを仕事用に購入したとしよう。通常は5年(=60カ月)で償却するため12月に買った場合1カ月分の3000円(60分の1)しか経費にならない。これでは節税効果はたった数百円だ。この場合、20万円未満の資産なので一括償却資産として3年で均等に割って償却すれば、12月に購入しても3分の1の6万円を経費にできる。翌年、翌々年も6万円が経費となる。

 前回、青色申告の特典として減価償却の特例を紹介した。青色申告をしていれば、10万円以上30万円未満の資産を「少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例(措置法28の2)」により、その年に全額経費とすることができる。

 この特例を使えば10万円以上30万円未満の資産を合計300万円までその年の経費にできるので、年末近くになってからでも、ガッツリ経費を積み上げ大きな節税が可能となる。例えば28万円のカラーレーザー複合機、24万円のデスクトップPC、26万円のカメラ用高級レンズを買えば合計78万円も経費を増やすことができ、税率が所得税20.42%、住民税10%だったら23万7276円も納税額を減らすことができる。

 実際には翌年から数年間、同じ程度の課税所得となり同じ税率なら通常通りに減価償却してもトータルの経費、節税額は同じとなる。業績の浮き沈みが大きな人はこれらの償却方法を使うともうかった年は大きな節税ができるだろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.