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個人事業主だって「節税」したい――税金の計算方法を紹介しよう増税サバイブ術(1/7 ページ)

» 2013年02月26日 08時00分 公開

連載「増税サバイブ術」について:

 この連載は、税金のことを何も知らなかったサラリーマン時代の筆者でも税金のことが理解できるようにと思い執筆している。そのため意図的に正確とは言えない表現をしている。例えば「大学生の子どもがいる……」というのは間違いで、正しくは「その年の12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人」となる。同じ大学1年生でも早生まれの子どもは対象外となる。浪人した場合も大学4年生で対象外になる人がいる。これ以外にも高校生、中学生といった表現は正しくないがご了承いただきたい。


 連載の第2回はサラリーマンの所得税、第3回はサラリーマンの住民税の計算方法を説明した。今回は個人事業主の納税額の算出方法と節税について紹介したい。

 個人事業主の所得税の計算式は以下のとおりだ。

  • 売り上げ−経費=所得
  • 所得−各種所得控除=課税所得
  • 課税所得×税率=所得税

 サラリーマンの所得税の計算式と比較すると、1行目は少し異なるが、2行目、3行目の式はほぼ同じだ。内容的にも1行目の部分はサラリーマンと個人事業主は大きく異なるが、2行目、3行目はほぼ同じとなっている。

 最初の式「売り上げ−経費=所得」の売り上げ、経費の金額は業種によって大きな差がある。一般的に仕入れがあり、マージンが少ない業種だと売り上げ、経費とも非常に大きな金額となる。例えば個人経営でPCパーツを9000万円分仕入れて1億円で販売すると差額は1000万円。そこからさらに事務所、倉庫、配送、水道光熱費など400万円の経費を引くと残った所得は600万円となる。

 筆者は専業ライターではないが、原稿書きが専業で自宅に引きこもって黙々と原稿を書く仕事であれば、仕入れがなく、経費と言えば自宅の水道光熱費の一部(安分という)、数年に1度買うPC代、携帯電話料金、プロバイダ料金、打合せに行く交通費程度となり年間で数十万円と少額になる。仮に原稿料が700万円で経費が30万円であれば所得は670万円となり、先ほどの年商1億円、所得600万円の人よりもうけていることになる。

 個人事業主の売り上げ、経費は発生主義という会計手法がとられている。例えば12月に原稿を書いて月末に請求書を送って、1月末に原稿料が振り込まれたとしよう。お金を受け取ったのは1月末だが、売り上げは事項が発生した12月の計上となる。出版社(発注側)も同様で、12月に請求され、1月に支払った原稿料は12月の経費となる。

 売り上げを集計する際は振り込まれた金額を合計してはいけない。例えば原稿料などは源泉徴収をされるので、10万円の原稿料なら1割引いた9万円が振り込まれる。引かれた1万円は発注側が代行して納税することになる。売り上げは10万円で1万円は納税済みということだ。

 筆者の場合、出版社の仕事は全て源泉徴収されているが、広報をお手伝いしているクライアントの仕事は、先方の経理または税理士の判断によって、源泉徴収される場合とされない場合がある。源泉徴収されないと振込額は増えるが、あとで納税する金額も増える。トータルの納税額は源泉徴収をされてもされなくても同じなので、個人的には適度に源泉徴収されることを歓迎している。源泉徴収される関係で筆者は独立して7年目になるが、所得税を納税したことはない。正確には源泉徴収された額のほうが納税額より多いので、毎年4月に税金が還付されている。まとめて数十万の所得税を納税するより、毎月源泉徴収で数万円ずつ納税し、払いすぎた数十万円が還付される方が精神的には安心だ。

 確定申告が近付くと源泉徴収した会社から支払調書が送られてきて源泉徴収された金額が記載されている。筆者のところにも必ず送られて来るが、調べてみると支払調書の発行は義務ではないらしい。筆者は送られてきた支払調書は確定申告の際に添付する必要はないと税務署に言われたので添付したことはないが、添付していないと受け取らないと言われた人もいるようなので、確定申告に行く前に担当の税務署で確認した方がよさそうだ。

年が明けると支払調書が送られて来る
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