コラム
» 2013年02月20日 08時00分 UPDATE

体罰事件から企業が学ぶべきこと (1/2)

大阪の桜宮高校バスケットボール部や女子柔道など、体罰問題が世間をにぎわせている。企業は体罰問題から、どんな教訓を得ればいいのだろうか。

[川口雅裕,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:川口雅裕(かわぐち・まさひろ)

イニシアチブ・パートナーズ代表。京都大学教育学部卒業後、1988年にリクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。人事部門で組織人事・制度設計・労務管理・採用・教育研修などに携わったのち、経営企画室で広報(メディア対応・IR)および経営企画を担当。2003年より株式会社マングローブ取締役・関西支社長。2010年1月にイニシアチブ・パートナーズを設立。ブログ「関西の人事コンサルタントのブログ


 大阪の桜宮高校バスケットボール部の体罰(暴力)事件に続き、女子柔道でも選手たちが監督を連名で告発するなど、スポーツにおける指導方法や指導者のあり方が大きな話題となっています。

 そして、このような指導が横行している原因の1つとして、指導者教育の不足が挙げられています。「メダリストだから」「実績を残した選手だから」という理由で監督やコーチにすえ、その人たちに指導のノウハウをしっかり学ばせていない。だから、彼らは自分の経験や考えだけに基づいて選手指導を行ってしまう。

 サッカーでは、長期に渡る講習会などで学ぶことがJリーグの指導的立場につく際の条件になっていますし、少年・少女チームの指導者にも公認資格がありますが、そんなシステムを持っている競技は少ないようです。

 これは、企業の管理職のありようと無関係ではありません。業績を根拠にして管理職への昇進人事が行われ、ロクに指導方法を学ぶことなく、自分の経験や信念に基づいて部下を指導している、というのが多くの会社の現状だからです。スポーツのように体罰という分かりやすい問題行動がないだけで、実は効果のない、誤った指導が行われている可能性は高いでしょう。

 もちろん、上司がそれぞれに持論や信念を持って指導に当たるのは構いません。しかし、セオリーをまったく知らずに、また、部下の年齢やその価値観の変化などを無視して、自分が受けた昔ながらの指導と同じようにやっているとしたら、それは多くのスポーツと同じであって問題です。

 そもそも、管理職はメンバーとはステージが異なります。自分で結果を出すのではなく、人を動かして結果を出す役割なのであり、そのためにはプレイヤーであった時代とは異なる能力や視点を身につける必要があります。

 プロゴルフでは、スター選手のほとんどがレッスンプロという、プレイヤーとして過去に実績を残したのではない「教えるプロフェッショナル」についていますが、これは、自分が上手にできるのと、人に上手に教えるのとは異なる能力が必要であることを表しています。同じように、管理職は指導のプロとしての役割が求められるのであり、会社も指導者教育にもっと注力していいはずです。

 指導者教育には、管理職研修で行われるような目標設定や評価の手法、部下とのコミュニケーションといったスキル学習も含まれますが、私には、それ以前の根本的な部分、社会人としてのありようや、部下や組織への精神的な態度に関する学びや見直しが必要であるように思います。

 例えば、他人に対する忍耐や寛容の重要性を知ること。部下を指導したら、すぐに結果を出してほしいと思ってしまいますが、できるようになるまでにはそれぞれに異なる時間が必要ですから、上司にはそれまでじっくりと見守ろうとする態度が欠かせません。失敗もあるでしょうが、もう一度挑戦させるためには、簡単に見限るのではなく、寛容な態度が求められます。

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