2012年10月に米Microsoftが出荷を開始した「Windows 8」(以下、「8」)は、2009年に出た「Windows 7」(以下、「7」)に次ぐWindowsの最新OSだ。最大の特徴は、1995年に出荷を開始した「Windows 95」以来となる、ユーザーインタフェースの大変革を図っていること。“Modern UI(モダンユーアイ)”と呼ぶ新しいユーザーインタフェースを採用した。
Modern UIは、米Appleが提供するiOS端末と同じように、タッチ操作に最適化したユーザーインタフェースとなっている。タッチパネルと組み合わせて利用することで、これまでWindowsを触ったことがない初心者ユーザーも簡単に操作ができる。
また従来のWindowsユーザーが慣れ親しんだユーザーインタフェース“Windowsデスクトップ(以下、デスクトップ)”も用意している。Modern UIから、デスクトップをアプリケーションの1つとして呼び出して利用できるのだ。
このように「8」では、タッチで操作できるユーザーインタフェースと、従来のWindows PCで一般的だったキーボードやマウスを利用して操作するインタフェースの2つの顔を持っており、用途に合わせて使い分けられるメリットがある。
本記事では2回に分けて、そうした「8」の魅力、そして徐々に登場しつつある「8」を搭載したタブレットの魅力について紹介していきたい。
「8」は、スタート画面からして従来の「7」までとは大きく異なっている。「7」までは、多くのユーザーが一度は体験したことがあるだろう“スタートボタン”から始まるユーザーインタフェースを採用していた。このスタートボタンは、Windows 95で初めて導入したもので、ボタンの形が変わったなどの変遷はあったものの、基本的な構造は17年に渡って継続してきた。
しかし、「8」で導入した新しいスタートメニューは、「タイル」と呼ぶ大きめのアイコンから構成している。これがModern UIの特徴ともいえる点で、従来のスタートボタンから始まるメニュー構造とは大きく異なっている。
例えば従来のスタートメニューでは、PCを終了するときにスタートボタンを押してメニューを出し、そこから「シャットダウン」を選ぶ手順になっていた。それがModern UIでは、画面の左端からスワイプ(スクリーンに指をおいて横ないしは縦に滑らせること)するか、キーボードでWindows+Cを押すと表示する“チャーム”と呼ぶメニューを呼び、「設定」を選び、その中にある「電源メニュー」から「シャットダウン」を選ぶとPCを終了できる。
このようにModern UIは、タッチ操作に最適化したユーザーインタフェースであり、Modern UI上のすべての操作はタッチだけで完結するように作り込んでいる。Modern UI上で利用するアプリケーション(ソフトウェア)は、「Windows ストア」と呼ぶサイトからダウンロードして利用できるが、そうしたアプリケーションのインストールもすべてタッチ操作でできるのだ。
Microsoftがこのような新しいユーザーインタフェースを追加した理由は、AppleのiOSやGoogleのAndroidなどがタッチ操作に最適化したユーザーインタフェースを採用し、市民権を得たことに対抗するためだ。従来のユーザーインタフェースは、キーボードやマウスで操作したときには非常に使いやすいが、タッチで操作するには最適ではなかった。
これまでもMicrosoftは何度かWindowsにタッチの機能を実装しようと取り組みを続けてきたが、いずれも失敗している。その理由が従来のユーザーインタフェースにタッチ機能を追加するという“屋上屋を架す(おくじょうおくをかす:屋根の上にさらに屋根をかけること)”やり方にあったと、今回気が付いたのだ。このため、Microsoftはユーザーインタフェースを完全に一新し、Modern UIを導入。「8」を起動するとこの新しいModern UIが立ち上がる仕組みをとった。
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