本稿は締め切りの関係上、逮捕当日と翌朝の報道をチェックした段階で記している。
逮捕直後ということもあり、主要メディアの報道は逮捕という事実、そして背後関係を説明する、いわゆる「本記」「解説」が中心となっている。限られた紙面や放映時間の関係もあるだろうが、それだけで良いのか。つまり、肝心の事件の手口、インターネットを悪用した犯行の詳細に関する報道が決定的に少ないのだ。それよりも、容疑者の人となりを短時間で取材。ネット世界に閉じこもりがちなステレオタイプな人物像に落とし込もうとする印象の強い報道に終始していた。
逮捕には至ったが、捜査陣がネット技術を駆使した捜査ではなく、マンパワーで容疑者をあぶり出したある種の矛盾に触れたものはほとんどなかった。
ここからは私の想像であることをお断りしておく。
合同捜査本部は、いまだにインターネットを使った遠隔操作の詳細をつかんではいないのでは。押収した証拠品の分析のほか、容疑者を取り調べる過程で得られる供述を加え、初めて全容が判明するはずだ。
では、なぜ容疑者が特定されたのか。主要メディアの報道で触れられているが、答えは防犯カメラの映像解析にある。江ノ島の猫に証拠となる首輪を巻き付けた際、容疑者はさまざまな防犯カメラにその姿を捉えられていたのだ。
ミステリーの執筆をなりわいとしている関係上、私は何度か最近の捜査手法の一旦を取材したことがある。この際、捜査関係者から聞き出したのは、防犯カメラの性能向上とこれを解析する捜査陣のスキルが格段に上がっている、という点だった。
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