進むクラウド化、デジタル化―最新会計ソフト活用で業務効率アップ

サラリーマンでも節税、どのように?――住民税を算出増税サバイブ術(3/4 ページ)

» 2013年02月13日 08時00分 公開
[奥川浩彦Business Media 誠]

平成25年分の所得税には復興増税が上乗せ

 平成24年分の所得税、住民税はこれまでの計算方法で算出できるが、平成25年分の所得税には復興増税が上乗せされる。東日本大震災の復興財源として所得税は平成25年から25年間2.1%が上乗せされる。5%の税率は5.105%、10%は10.21%、20%は20.42%に変更される。前回の記事で掲載した課税所得から納税額を計算するための控除額を含めた速算表は以下のように変更される

所得税の税率(平成24年までの速算表)

課税所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超〜330万円以下 10% 9万7500円
330万円超〜695万円以下 20% 42万7500円
695万円超〜900万円以下 23% 63万6000円
900万円超〜1800万円以下 33% 153万6000円
1800万円超 40% 279万6000円

所得税の税率(平成25年からの速算表:速算表はまだ公表されてはおらず、この速算表は改正に基づいて筆者が作成)

課税所得金額 税率 控除額
195万円以下 5.105% 0円
195万円超〜330万円以下 10.210% 9万9547.5円
330万円超〜695万円以下 20.420% 43万6477.5円
695万円超〜900万円以下 23.483% 64万9356円
900万円超〜1800万円以下 33.693% 156万8256円
1800万円超 40.840% 285万4716円

 例えば課税所得が300万円の場合、平成24年の所得税額は「300万円×10%−9万7500円=20万2500円」と計算したが、平成25年からは「300万円×10.21%−9万9547.5円=20万6752.5円」と1円未満切り捨てで20万6752円となる。

 説明抜きでこの速算表だけ見ると、実にセンスのない税制と感じられる。しかしこれが25年間続くことになっている。個人的には来年以降の税金の原稿は20万2500円と書くところを20万6752円と書かなければならないと思うと頭が痛い。住民税の調整控除も分かりにくい仕組みで、筆者のような税金の素人から見ると、日本の税制はつぎはぎだらけで、増築を繰り返した温泉旅館のようだ。一度解体し建て直したほうがいい時期に来ているように思われる。

 住民税の復興増税は、約1年半の時差があり、平成26年の6月以降徴収の住民税に年間1000円が上乗せされ、これが10年間継続されることになっている。

サラリーマンの確定申告

 2月になりいよいよ確定申告のシーズンだ。今年の確定申告の受付は2月18日から3月15日まで。サラリーマンは年末調整で既に納税が完了しているので、通常は確定申告は不要だが、年収2000万円を超える人や、給与以外に20万円を超える収入がある人は確定申告をする必要がある。そのほかにも確定申告の必要なケースがあるので詳しくは国税庁のWebサイトで確認していただきたい。

 筆者もサラリーマン時代の最後のほうで原稿料が20万円を超え、わけもわからず確定申告をしたことがある。当時は経費という概念もなく、原稿料だけを申告して必要以上に納税していたことに気付いたのは独立した後だった。

 確定申告の必要はないが、申告すれば税金が戻ってくる(還付される)ケースもあるので、主なものだけ紹介しておこう。

 年末調整後に結婚などで扶養家族が増えた人は還付される可能性がある。でも実際には結婚相手が普通に会社員として働いていれば、そこそこの年収があるので配偶者控除、配偶者特別控除の対象とならないため確定申告しても還付されない。当たり前だが、結婚とは結婚式の日ではなく入籍した日なので、もし家事手伝い、年収なしの女性と結婚するなら籍だけは年内に入れると還付が受けられる。以前は年末調整後に子どもが生まれると扶養控除が増え還付の対象となったが、現在は15歳以下の扶養控除が廃止されたため確定申告をしても還付されない。

 家を買った人は住宅ローン控除を受けることができる。住宅ローン控除を受ける場合は、初回は確定申告の必要がある。住宅に関しては新築だけでなく、リフォームや耐震工事、売却損などでも確定申告を行うことで還付を受けることができる。

 医療費が多い人は医療費控除により還付を受けられる。生計をひとつにする親族のために支払った医療費の年間の合計額が10万円(所得金額が200万円未満の人は所得金額の5%)を超えた場合は還付を受けられる。また、共働きでも旦那が奥さんの医療費を払ったとすれば合算することができる。

 医療費の対象には保険適用外の診療も含まれる。眼科のレーシック手術や歯科のインプラントなどの高額な医療費も治療に該当すれば対象となる。入院などで医療費が増えた場合も対象となるのだが、生命保険(入院給付金)、高額療養費などで補てんされた金額は差し引かれるので、入院の場合は思ったほど医療費が増えないことが多い。

 最後は、そもそも年末調整をしなかった人。年末に仕事が忙しかったり、単にズボラだったりで年末調整をパスした人は確定申告をすることで還付を受けられる可能性がある。必ずしも還付されるわけではないが、過去に12月の給与が年末調整で増えていた人は可能性は高い。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.