2月にある「3つの行事」に変化の兆し――どのように?博報堂・吉川昌孝のデータで読み解く日本人(1/4 ページ)

» 2013年02月08日 08時01分 公開
[吉川昌孝,Business Media 誠]

吉川昌孝のデータで読み解く日本人:

 30年以上にわたり生活者を研究し続けてきた「博報堂生活総合研究所(生活総研)」。同研究所の主席研究員である吉川昌孝氏が、生活総研オリジナル調査「生活定点」などのデータを用いて、“時代の今とこれから”を読み解きます。

 「生活定点」とは、1992年から20年間にわたって隔年で実施している時系列調査。衣食住から地球環境意識に至るまで、人々のあらゆる生活領域の変化を、約1500の質問から明らかにしています。現在、生活総研ONLINEで20年間のデータを無償公開中。こうした生活者データから得られる“ターゲット攻略のヒント”はもちろん、ビジネスパーソンの日々の仕事に役立つ“データを読み解く技術”などもご紹介していきます。


著者プロフィール:吉川昌孝

 博報堂生活総合研究所研究員、および動態研究グループ・グループマネージャー。1965年愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒、同年、博報堂入社。マーケティングプラナーとして得意先企業のマーケティング戦略立案業務を担当。2003年より生活総合研究所客員研究員となり、2004年より生活総合研究所に異動。2008年より未来予測レポート『生活動力』のプロジェクトリーダー。著書に『亞州未来図2010−4つのシナリオ−』(阪急コミュニケーションズ・共著)、『〜あふれる情報からアイデアを生み出す〜「ものさし」のつくり方』(日本実業出版社)などがある。2008年より京都精華大学デザイン学部非常勤講師。


 みなさん、こんにちは。博報堂生活総研の吉川です。長期時系列調査「生活定点」をベースに日本人の今とこれからを探るこのコラム、第3回目のテーマは「日本の年中行事」です。

 ちょうど1か月くらい前はお正月。みなさん、お年玉はもらいましたか(笑)。「成人しても親が存命の子どもたち〜30代以上の中高年チルドレン〜のお年玉の実態についての調査結果(参照リンク)」もあるのですが、今回は2月の行事(節分とバレンタインデー)についてお送りします。

豆まきは5割を切り長期停滞、恵方巻は5割に到達

 最近コンビニエンスストアでも、この季節になると見かける恵方巻(丸かぶり)。博報堂生活総合研究所が行った時系列調査「生活定点」のデータを基に、同じ節分の行事の豆まきと比較してみました。2010年と2012年に「節分に恵方巻を食べた」と答えた割合を見ると、2回とも「節分に豆まきをした」を超え、ついに最新データでは50%に達しました。

 一方「節分に豆まきをした」は1998年に50%を割り、その後は45%前後で長期停滞状態にあります。2010年には最低値43.8%を記録しますが、何とか盛り返して最新の2012年時点で45.4%。そもそも恵方巻は関西出自の行事でしたが、最近は全国的に見かけるようになってきました。これら2つの節分の行事には、地域差があるのでしょうか。

東西差がほとんどない豆まき。恵方巻は?

 エリア別に、この2つの行事の実施率のグラフを見てみましょう。まずは豆まきから。首都圏と阪神圏で、ほとんど同じような動きをしていることが分かります。全体を通じて、首都圏よりも阪神圏の数字が若干低めではありますが、45%前後での推移は同様です。このグラフから、(首都圏と阪神圏の比較だけですが)豆まきが地域にあまり関係なく受容されてきたが、ここ数年は少し停滞気味であるということが想像できます。

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