コラム
» 2013年02月01日 08時00分 UPDATE

タクシーは拾う時代から選ぶ時代へ――付加価値で顧客を増やす (1/2)

「付加価値で顧客を増やす方法」について、日経MJの記事「移動+αで顧客を作る」を参考に考察してみたいと思います。

[荻野永策,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール

荻野永策(おぎの・えいさく)

株式会社ALUHA社長。Javaプログラミングができるマーケティング、営業戦略コンサルタント。1979年兵庫県西脇市生まれ。金沢工業大学でJavaを用いたソフトウェア加工学を学び、2001年情報処理学会北陸支部優秀学生賞を受賞。大学院を経てALUHAを起業。


 日経MJの1月28日号3面に「移動+αで顧客を作る」という記事があった。簡単にまとめると、次のような内容である。

  • タクシー大手の日本交通が次々と新しいサービスを打ち出している
  • 川鍋社長は「タクシーは拾う時代から選ぶ時代へ」へと見定め、マーケティングとITを活用して顧客創造にまい進
  • 目指すは運送業から総合サービス業への進化
  • タクシーを使っていない人に使ってもらうように考える
  • バスや鉄道とは違う、「移動+α」を見出せば、輸送人員が右肩下がりの時代でも客を増やせるはず

 実際の記事を読んでいただけるとよく分かるが、川鍋社長の着眼点は非常に興味深い。というより面白い。ワクワクするような内容である。特に記事内にあった下記の部分は非常に共感できる。

タクシー業界は客を「つくる」努力を怠ってきました。A地点からB地点に移動する客を乗せるだけ。バブル崩壊でそうした客が減ると行政が悪い、規制が悪いとなる。輸送人員を増やすには、タクシーを使っていない人に使ってもらうよう、考えねばなりません。

 川鍋社長がおっしゃるように、私も出張の時などにタクシーをよく利用するが、場所から場所へ人を運ぶだけで、それ以上でもそれ以下でもない。こうなると、「目的地まで行くことができればタクシーじゃなくてもよい」という判断になる。そりゃ、お客さん、減る一方である。さらには、値段も安い方がいいということにもなる。

 しかし、ここから見直しをしたのが日本交通である。記事内では「タクシーは拾う時代から選ぶ時代へ」と見定めている。選んでもらえるようなタクシー会社になろうというわけだ。しかも、「選ばれる理由」も2段階の理由を考えている。

 1つ目は、公共交通機関ではなく、タクシーが選ばれる理由。そして2つ目は、他のタクシー会社ではなく、日本交通が選ばれる理由である。これに関しては、例えば記事でも紹介されている「観光タクシー」が良い例だ。

例えば、高齢になると観光バスの団体ツアーについていくのが難しくなる。トイレが近くなったり、歩くのが大変になったりするからです。そこで見えてきたのが車から降りずに観光したいというニーズ。これを使えば、タクシーに客を呼べると考えています。

(中略)

観光タクシーは多くの利用者が価値を認め、3時間で約14000円かかるのにチップをくれる人もいます。つたないガイドでも一生懸命やれば感謝されます。

 このサービスの場合、公共交通機関と比べれば、いつでもトイレに行ける、自分のペースで行きたい場所に行けるなど、メリットが多い。要するにタクシーの強みが生きるわけだ。さらに、運転手が一生懸命観光ガイドをすることで、観光ガイド力を差別化の武器にして、他のタクシー会社と差別化している。こうなると、タクシー会社というよりも、観光ガイドサービスとして進化することになる。こうやって選ばれる理由をしっかりとサービスとして用意し、顧客に提案している。

 さらに、私が以前このコラムでも紹介させていただいたキッズタクシーも好調のようだ。現在、毎月300件の利用があり、2年前には27人だった専門運転手も今では63人にまで増えたそうだ。これはこれでうれしいことだが、本質的には、まさに「脱タクシー会社」であり、それが順調に進んでいるということになる。

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