「ままも族」ってナニ? 母と娘が一緒に消費をするこれからのことがよく分かるコラム(2/3 ページ)

» 2013年01月30日 00時00分 公開
[野嶋朗,Business Media 誠]

どうして「ままも族」なの?

 あなたは娘と美容やファッションの好みが似ていると感じていますか? この質問に対し、母親の5人に1人は「好みが似ている」と答えました。一緒にサービスを受ける理由を聞いたところ「友人になったような気分」「ワクワクする」「刺激が得られ若くなった気がする」といった声がありました。

 また「母親は若くなった」「年齢と服のセンスや髪形は関係ない」という声も目立ちました。年齢によるマーケティングからテイスト・価値観によるマーケティングへと視点が切り替わってきたのもうなずけますよね。

 ちなみにお父さんは蚊帳の外。SNSで「娘をフォローしている」お母さんは40.0%もいましたが、「夫をフォローしている」はわずか4.9%でした。

 そんな母と娘の絆。震災で絆消費が注目されましたが、「ままも族」もその分類に入るのかもしれません。ところで、どうして「ままも族」なのでしょうか? お母さんに尋ねたところ「気を遣わなくていいから」「娘と一緒に体験できることが単純に嬉しいから」「コミュニケーションを深められるから」といった回答が上位にきました。

どうして「ままも族」なのですか?

縦横の消費期待

 美容業界の市場は2009年を境に縮小に転じ、カットの利用回数、1回当たりの支払金額も減少傾向にあります。低価格志向や買い控え感が高まったこともあって、今後も業界全体の縮小傾向は続くと言われています。

 そうした中で登場した「ままも族」。彼女たちには2つの財布があるのですが、そのひとつお母さんの財布は開きやすい。お母さんの財布でメニューを追加したり、新しいことを体験したりするので、「ままも族」を取り込めば単価アップにつながり、サロン来店当たりの消費金額は上がる可能性があります。

 「母娘パック」や「母娘割引」などのメニューは既に生まれていますし、体質の似ている母娘だからこそさまざまなセットメニューの提案も可能になってくるでしょう。これが縦の期待です。

 そして、これまで母親が体験したことのなかったネイルやエステといった新たなサロンの体験が横に横に増えていく可能性もあります。バブルの頃には値段が高くてためらっていたエステサロンも今では行きやすい。ネイルサロンも「娘と一緒ならば……」という気持ちになる。このように新たなサロン体験につなっがっていく――これが横の期待です。サロン内の売上(縦)×新サロン体験(横)が「ままも族」によって生まれ、今、美容消費を刺激しているのです。

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