ワクコンサルティング株式会社執行役員・チーフコンサルタント。名古屋工業大学産業戦略工学専攻修了後、大手化学工業品メーカーで商品企画開発に従事。その後、事業開発プロジェクトのプロジェクトリーダーとして、問題分析手法を活用した業務改革テーマの創出や、サービスサイエンスを取り入れた新規事業戦略立案に貢献。現在はサービスサイエンスおよび新規事業開発を中心に支援を行っている。
以前の記事「製造業もサービスを売れ! 4つの方向性を考える」で、製造業を始めとするすべての産業において、サービスは競争優位そのものになってきているというお話をさせていただきました。もちろんサービス強化を行う際には、市場や顧客などの分析、ビジネスモデルやサービスシナリオの検討などなど、色々と深い検討が必要になろうかと思いますが、そうはいってもまずはどの辺りに着目すべきか、そのヒントが欲しいものです。
そこで今回は、サービスサイエンスの考え方で世の中のサービスを徹底的に分類することで見えてきた、サービス強化のヒントを見つけるための簡単な3点バランスチェックを紹介します。
「サービス」と聞くと、目に見えなくてなんだか雲をつかむような話といった印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか? そこでサービスサイエンスではまず、世の中にあるサービスを整理してサービスの全体像を明らかにする検討を行いました。
具体的には、経済産業省の外郭団体のホームページにある日本のサービス業種一覧に掲載されている約450種類のサービス業を、基本サービスメニューで分類してみるというものです。その結果分かったことは、世の中にあるサービス業は、たった21種類の基本サービスメニューから成り立っているということです。
このようにサービスの全体像を少しだけ整理してみると意外とシンプルに分類でき、この分類を活用して他社サービスの分析ができたり、世の中の優れたサービスの構成要素を整理してポイントを理解したりすることができるようになってきました。
そこで今回ご紹介するのは、この基本サービスメニュー21分類をさらに3つにまで集約したものを活用してサービス強化のヒントを得ようというものです。
先ほど登場した、世の中のサービス業を分類した21種類の基本サービスメニューには、例えばこんなものがあります。フレンチレストランや日本料理店、カフェといったサービスはすべて「食事や飲み物を提供する」という基本サービスメニューに分類されます。また、テーマパークやイベント業は「娯楽を提供する」に。鉄道やバスやタクシー会社は「移動を支援する」に。
といった具合で、21種類の基本サービスメニューが定義されています。そして面白いことに、製造業や農業も「作ったモノを提供する」サービスに分類することができるのです。
さらにこれら21種類を分類していくと、次の3つの基本サービスメニューに集約されます。
モノを提供することに価値の源泉があるサービス業で、先ほどの21種類の基本サービスメニューの中では「作ったモノを提供する」「食事や飲み物を提供する」「モノを貸し出す」など、5種類が該当します。
情報提供が中心のサービス業で、「価値ある情報を提供する」「いろいろなことを相談する」「代わりに設計する」など、5種類の基本サービスメニューが分類されています。
ここには「所有物を修理する」「移動を支援する」「娯楽を提供する」「能力向上を支援する」など11種類の基本サービスメニューが、中分類として「安心提供」「楽(らく・たのしさ)提供」「自己実現」の3つに分類されて所属しています。
さてそれでは、これら3つの基本サービスメニューの大分類から見えてくるサービス強化のヒントについてみていきたいと思います。
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