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消費税の仕組みを考えよう増税サバイブ術(1/3 ページ)

» 2013年01月28日 08時00分 公開
[奥川浩彦Business Media 誠]

 ここ数年、テレビのワイドショーやニュースで税金に関する話題が多くなったのではないだろうか。特に消費税に関する報道は群を抜いて多い。確定申告の対象となる税金は主に所得税だが、今回は消費税のことを取り上げてみたい。次回以降は源泉徴収票の見方とサラリーマンの税金、個人事業主の税金、青色申告のメリット、青色申告ソフトの使い方などをお届けする予定だ。

 2014年4月から消費税が8%、2015年10月から10%になる予定――ということは、多くの読者が知っているだろう。では昨年、2012年に自分が所得税、住民税、消費税をいくら納めたか知っている人はどれくらいいるだろうか。筆者自身は所得税と住民税は確定申告しているから把握している。固定資産税、自動車税もコンビニで払った(納めた)ので記憶している。しかし、プライベートで納めた消費税額は分からない。加えて、ガソリン税、タバコ税、酒税なども把握していない。

 筆者は個人事業主になってからは税金を意識するようになったが、サラリーマン時代は全く興味がなく、所得税や住民税をどれくらい納めているかなど考えたこともなかった。増税という言葉には敏感に反応するが、反面自分自身が納めている税金には鈍感な方が多いのではなからろうか。この機会に、少し税金について知識を深めていただきたい。

そもそも国の税収はどうなっている?

 個人の税金を確認する前に国の税収を見てみたい。平成24(2012)年度一般会計予算の歳入から税収とその他収入を抜き出したのが下のグラフだ。所得税が13.5兆円、法人税が8.8兆円、消費税が10.4兆円となっている。

 税収その他、印紙収入の9.6兆円の内、主なものは以下の通りとなっている。

税収その他、印紙収入 税収
揮発油税 2.6兆円
相続税 1.4兆円
酒税 1.3兆円
たばこ税 0.9兆円
関税 0.9兆円
石油石炭税 0.5兆円
自動車重量税 0.4兆円
印紙収入 1.3兆円

 所得税、法人税、消費税が国の税収の大きな柱になっていることが分かる。揮発油税と聞くとピンと来ないかもしれないがガソリン税と言えば分かりやすいだろう。

 これら国の税収とは別に地方の税収もある。代表的なのは住民税、事業税、自動車税、自動車所得税などとなるが、ここでは国税を中心に進めたい。

 次に国が払う方のお金、歳出を見てみよう。目立つのは社会保障の26.4兆円。医療、介護、年金などで必要な費用だ。それに続くのが国債費の21.9兆円。過去の借金返済の費用で内訳は債務償還費が12.9兆円、利払費等が9.9兆円となっている。

 46.1兆円の歳入(収入)に対し90.3兆円の歳出(支出)。誰がどう見ても歳入が足りない。そのため建設公債で5.9兆円、特例公債で38.3兆円、計44.2兆円の国債(借金)を発行し財源としている。

 建設公債は主に公共事業費に充てるために発行される国債。特例公債は別名「赤字国債」と呼ばれ一時的な赤字を補填するためのものだったが、バブル崩壊後1994年から現在まで途切れることなく発行されている。国債(借金)の残高は700兆円を超え、歳出における国債費(借金返済)が4分の1を占めるなど大きな問題となっている。

 個人と国は異なっているが、国の財政を家計に例えることも多い。月収40万円で支出が78万円。足りない38万円を借金し、借金の残高が7400万円などとされている。普通に考えれば破綻状態だが、国債の多くは国民が保有(内債)しているので、あえて家計に例えれば借金の相手は身内、お爺ちゃん、お婆ちゃんから借りていることとなり破綻する可能性は低いと言われている。しかし健全な状態でないのも事実だ。

 仮に月収40万円で支出が78万円だとしたら、収入を増やすか支出を減らすかと考えるのが普通だろう。国が収入を増やす=税収を増やす必要がある、ということだ。

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