連載
» 2013年01月28日 08時00分 UPDATE

ビジネス英語の歩き方:CESで注目された“Context Awareness”というバズワード (1/2)

先日行われたエレクトロニクスの一大イベント「CES」で注目された“Context Awareness”という言葉。「コンピュータがユーザーの願望を読みとって、それに応じた情報の提供をする技術」ということだそうです。

[河口鴻三,Business Media 誠]

「ビジネス英語の歩き方」とは?

英語番組や英会話スクール、ネットを通じた英会話学習など、現代日本には英語を学ぶ手段が数多く存在しています。しかし、単語や文法などは覚えられても、その背景にある文化的側面については、なかなか理解しにくいもの。この連載では、米国で11年間、英語出版に携わり、NYタイムズベストセラーも何冊か生み出し、現在は外資系コンサルティング会社で日本企業のグローバル化を推進する筆者が、ビジネスシーンに関わる英語のニュアンスについて解説していきます。


 毎年1月にラスベガスで行われるエレクトロニクスの一大イベント「CES」。CESとはConsumer Electronics Showの略で、消費者が直接利用できるデジタル機器の新しいトレンドを知ることができるのです。毎年、IT業界の大物が基調講演を行って、その年のトレンドをぶち上げるので、業界人は目が離せません。今年も1月7日から10日まで行われ、世界中から15万人ほどが集まりました。

 元気のいいサムスンなどの基調講演や、新しいテクノロジーや製品に関するお披露目が盛大に展開されましたが、ウォールストリート・ジャーナルによれば、今年一番の注目を集めたのは「Context Awareness(コンテクスト・アウェアネス)」というコンセプトだったそうです。

 こういうのを「buzzword(バズ・ワード)」と言います。トレンドを示す流行り言葉という意味で、ビジネスの世界ではよく出てきます。マーケティングで「Word of mouth(口コミ)」などを使って話題作りをし、buzzwordにしていくといった使い方をします。

 そもそもコンテクストという単語は文脈とか脈絡、アウェアネスという単語は気付くこととか知ることという意味で昔から使われていて、別に目新しくはないわけですが、コンテクスト・アウェアネスということになると、がぜん新しい光を放ち始めます。会場にいた人たちも、後で話の内容を聞いたり読んだりした人たちも、携帯に強い通信技術企業クアルコムのポール・ジェイコブスCEOが、同社の目指す方向だけでなく、マーケットの主流が、そちらに向かうだろうと述べたことをしっかり記憶にとどめたに違いありません。

ah_biz0.jpg クアルコムのポール・ジェイコブスCEO

 同時にクアルコムはパラマウント映画と組んで、『スタートレック』の新作プロモーションにこのContext Awareness技術を使うと発表しています。ウォールストリート・ジャーナル紙1月7日号はこうした動きを次のように報じています。

Paramount Pictures, a division of Viacom Inc., and Qualcomm Incorporated, through its subsidiary Qualcomm Labs, Inc., today announced that Gimbal context awareness technologies will be used to deliver exclusive content and advanced real world game experiences for the “STAR TREK INTO DARKNESS” application based on the upcoming movie from J.J. Abrams.

 さて、コンテクストにはさまざまな定義が可能ですが、最近のIT用語に即して言えば、コンピュータ側がユーザーの気持ちや意向、意図といったもの、つまりユーザーが思い描いている願望を読み取って、それに応じた情報の提供をする、それがContext Awarenessだと言えるでしょう。

 今までも文章作成ソフトのようにAIを使って、ユーザーの選ぼうとしている文言をどんどん先取りして、いくつかの選択肢を瞬時に提示するものも、Context Awareness技術と呼んでいいと言えるでしょう。こういうものは、かなり前からあります。昔からある文章校正機能(英語でいえばスペリングミスを指摘するときに出る波線)も、同じ機能だと言えなくもありません。

 しかし最近のContext Awareness機能は、よりダイナミックになってきて、GPSの位置情報などを多用し、ユーザーがいる場所の近くで、どんなレストランがあるか、知らない街で空港に行くにはどういう交通手段があるかなどを、瞬時に提示するといった方向に進化しています。英語ではSixth Sense(第六感)などと呼ばれることもあります。

 先読みとか先取りという日本語が、これに近いと言えるでしょう。ひところはやった言い方を引っ張り出せば「空気を読む」ということです。スマホやサーチエンジンも、今以上にユーザーの空気を読めるようになり、お節介と紙一重のようなサービスが、提供されるようになるに違いありません。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -

ITmedia 総力特集