カーズのパクリ玩具「キョロ2」が日本に流れる理由窪田順生の時事日想(3/3 ページ)

» 2013年01月22日 08時25分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]
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まだ「MADE IN CHINA」から脱却できない

 原価を抑えるために「カーズ」のパクリ商品に手を出したんですか、という問いかけはしなかった。

 もともと「ロッチ的」なものに甘いということもあるが、不毛なやりとりのような気がしたからだ。

 実はこの善良そうな卸問屋が扱っている景品玩具には「前科」がある。数年前に玩具協会が抜き打ち検査をしたところ、中国製のミニカーやゲーム機の塗装から基準の2〜3倍を超える鉛が、そしてボールやお絵描きセットからは発がん性のある物質も検出されたのだ。

 景品玩具に触れるのは、お祭りやレストランに来る幼い子どもたちだ。企業にとって、中国の労働力は魅力かもしれないが、「しょうがない」で済まされることではない。当たり前だが、この卸問屋は、20万個にも及ぶ自主回収をすることとなった。

 ちょっと前にそんな“痛い教訓”があっても、まだ「MADE IN CHINA」から脱却できない。「チョロ2」を見るかぎり、もはや「依存」と言ってもいい。

 今、中国の大気汚染が問題になっている。風にのって、日本にやって来ているそうで、九州では目が痛いとか、山形・蔵王の樹氷が真っ黒になっているだとか報じられている。

 確かにえらい話だが、日本の零細企業もだいぶあちらの大陸からの「汚染」を受けている。害がのって来るのは、なにも風だけではない。

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