カーズのパクリ玩具「キョロ2」が日本に流れる理由窪田順生の時事日想(2/3 ページ)

» 2013年01月22日 08時25分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

 もしそうだとしたら、「ロッチ」よりもはるかに戦略的だろう。法的に有効かどうかはさておき、例えばこんな言い逃れができるからだ。

 「カーズ? まあ雰囲気は似てますけど、これは『キョロ2』という弊社のオリジナルキャラですよ。ホラ、目がキョロキョロしてるでしょ?」

 どこかで聞いたへ理屈だと思って車体の底を調べたら、「MADE IN CHINA」と印字されていた。

 「ドッキリマンシール」は北関東の工場で製造されていたそうだが、今やこういう射的や輪投げの景品、お子様ランチのオマケのような「景品玩具」の多くは、中国でつくられている。これは日本だけではなく、世界の7割のオモチャは中国でつくられているという。

 中国の工場に発注をしている玩具メーカー社員に、「キョロ2」を見せたらこんなことを言った。

 「景品玩具はマクドナルドのハッピーセットのオマケのように日本で商品企画し、中国の工場へ発注するのが普通ですが、零細の玩具問屋などは原価を抑えるため、中国で流通しているパクリ玩具をパッケージしているだけというケースもある。原価5円以下なんて世界なのでしょうがないんですが……」

 確かに、調べてみたら「キョロ2」を扱っているのは下町の小さな玩具問屋だった。問い合わせをしたら、人の良さそうなおじさんが出てきて、丁寧に応対してくれた。

 「昨年ですべて売り切ってしまったんですよ。似たような商品を卸す予定はありません。あれはウチでも勝負をかけていたんですよ。原価を抑えて2台をひと袋に入れた。クルマは1台だけだと遊べないので、なかなか売れないんですよ」

「キョロ2」の文字もどこか「チョロQ」を連想させる

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