1時間のデスクワークで22分縮むあなたの寿命伊吹太歩の世界の歩き方(2/2 ページ)

» 2013年01月17日 08時00分 公開
[伊吹太歩,Business Media 誠]
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米国では「座り病」として認識されている

座る (写真と本文は関係ありません)

 多くの専門家は口をそろえる。「ジムで毎日30分走ったとしても、他の時間ずっと座って過ごせば、走った効果は大きく落ちる」と。痩せていようが太っていようが関係ない。誰にでも同じように健康に悪い。

 米国ですでに「座り病」と呼ばれる座り続ける行為は、どう体に作用しているのか。まず座り続けることで、体の新陳代謝機能が大幅に落ちる。筋肉の動きや心拍数が低下する。するとカロリー燃焼率が、動いているときの3分の1にまで落ちるのだ。インスリン作用は低下し、脂肪とコレステロール値は増加するという。

 かつてサッカー日本代表選手が飛行機での長距離移動で、脚の血管に血栓が詰まる「エコノミー症候群」になって話題になった。こうした症状も座り続けることで起きる。オフィス以外でも、座り病による負の影響はあるのだ。

 では、どうすればいいのか。対策としては、当たり前のことだが、座っている時間を分割するためになるべく立ち上がって動き回ることだ。例えば20分おきにPCの前から離れ、数分間歩く。最近、米国の専門家たちの中には「立ち飲み」ならぬ「立ち会議」「立ちオフィスワーク」を提唱している人たちもいる。また電車やバスでもなるべく座らないようにして、1日の座る時間を減らす。

 米国では2013年7月に「座り病」の危険を啓蒙する会議が予定されている。今年で第3回になる。JustStand.orgという啓蒙サイトが主催しているのだが、このサイトでは自分がどれほどの「座り病」かを簡単に計算できる(参照リンク)

 こんな調査結果もある。痩せている人は、肥満の人よりも1日2.25時間多く動き回っている。つまり、座り続けないで歩き回ることで痩せる効果もあるということだ。とにかくできる限り席を離れて歩くことが体には優しいということだろう。

 以前、ある著名な病理医師に聞いた話では、「長生きするには、あまり神経質になりすぎないこと、食べる量も寝る時間も、なんでも過剰にしないように注意すればいい」という。「座る」のも長すぎると体に悪い。長時間座り続けないほうが長生きできるというのは間違いないのだろう。

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