2012年の倒産件数は3年連続で減少、金融円滑化法が影響

» 2013年01月16日 14時30分 公開
[Business Media 誠]

 帝国データバンクは1月15日、2012年の全国企業倒産集計を発表。それによると、倒産件数は前年比2.1%減の1万1129件と3年連続で減少したことが分かった。帝国データバンクでは「金融円滑化法のもと資金繰り難に陥っている中小企業が、金融機関から借入金の返済条件の変更を受けるという形で支援され破たんを免れた」と分析している。

※金融円滑化法……中小企業や住宅ローンの借り手が金融機関に返済負担の軽減を申し入れた際に、できる限り貸付条件の変更などを行うよう努めることなどを内容とする法律。

 一方、負債総額は前年比9.0%増の3兆4637億3300万円と、2年ぶりに前年を上回った。半導体製造のエルピーダメモリ(負債4480億3300万円)、消費者金融のクラヴィス(同3268億8700万円)など、負債1000億円以上の超大型倒産が4件発生(前年は3件)したことで、負債総額が押し上げられた。

倒産件数推移(出典:帝国データバンク)

 倒産件数を業種別に見ると、最も多かったのは建設業で2731件。以下、サービス業が2091件、小売業が2074件、卸売業が1665件、製造業が1506件で続いた。ただ、前年との比較でみると、建設業は10.1%減と減少しており、運輸・通信業の5.2%増、卸売業の4.9%増が目立っていた。

 製造業は前年比5.3%減だったが、帝国データバンクでは「パナソニックやシャープといった大手電機メーカーの下請け先を中心として倒産リスクが高まっている企業は少なくない。主にメーカーの下請けとして売り上げを立てている中小企業のなかには、メーカーが大幅なリストラ策を講じて以降、取引が減少し資金繰りが行き詰まった企業も確認されている」とコメントしている。

 地域別では東北(前年比24.9%減)や中部(同10.3%減)などは大幅に減少した一方、北陸(同21.6%増)や北海道(同17.7%増)の増加が目立った。

業種別件数(出典:帝国データバンク)

上場企業の倒産は4年ぶりに増加

 上場企業の倒産は、東証一部のエルピーダメモリのほか、東証二部のNISグループ(負債額508億2300万円)など6件。2009年以降3年連続で減少していたが、4年ぶりに増加することとなった。

上場企業の倒産推移(出典:帝国データバンク)

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