『孫子の兵法』で知られる孫子がある時、呉の王から「兵法だなんだとへ理屈をこねているが、か弱い宮廷の女だけでも強い軍隊をつくれるのか」と無理難題をおしつけられた。
孫子は、もちろんできますよと自信たっぷりに200人近い宮廷の女たちに軍事訓練を施しはじめる。といっても、みんなマジメにやるわけがない。すぐに踊ったり、怠けたりとしてしまう女たちに孫子が言う。
「これは遊びじゃない。今度、軍規に違反をしたら処刑する」
悪い冗談かと思っていたらマジだった。孫子は「隊長」に命じられた女性ふたりが他の女たちとふざけているのを見るや、とっつかまえて、みんなの前で首をはねたのである。これはマズいと、女たちは死に物狂いで訓練を始めた。
かくして強い軍隊ができあがり、孫子も王に軍師として迎えられたというわけだ。
残忍な拷問をいくつも編み出した古代中国らしい逸話だが、実はこれと似たメソッドは、独裁政権やらの軍隊でつかわれている。士気をあげたい独裁者からすると、「隊長」だけを吊るし上げればいいのでラクだ。また首をはねられる側じゃなければ、それほど恨まれないので、孫子のように「素晴らしい軍師」なんてもてはやされることもある。
バスケ部OBから、男性教諭のことを「熱心な先生だ」とか「先生の指導に間違いない」と擁護する声があがったというのは、これが理由だ。
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