人事部による採用はもう要らない?――ソー活はなぜ「気持ち悪い」のかサカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(2/3 ページ)

» 2013年01月14日 08時00分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

ソー活の気持ち悪さを作り出す原因は、採用基準の曖昧さ

 それでは、ソー活はなぜ「気持ち悪い」のでしょうか。

 理由は簡単で、多くの企業の採用基準が明確ではないことです。人物本位や社風に合う人をとうたっている企業は、特にそうかもしれません。何を根拠に採用しているのかが不明ですし、逆にどういう理由で不採用になったのかも分かりにくい。したがって、仕事ができることよりも、できるだけ品行方正で、人として立派である(これまた曖昧な言葉です)ことが求められると、就活生や転職希望者は思ってしまう。

 今までも面接の時などに、相手が好感を持ちそうな振る舞いをすることで「つくった」自分を演出する人は少なくありませんでしたが、ソーシャルメディア全盛のいま「つくった」部分の整合性を担保するために、いろんなところを取り繕わなくてはならない。それが面倒だし、息苦しいという反応なのでしょう。確かにその通りだと、私も思います。

 では、就活生や転職希望者がソーシャルメディアで取り繕う必要のない状態をつくるためには、どうすれば良いのでしょうか。こと、就活・転職に関しては、企業が「採用する基準を明確なものにする」ことで、ほぼ解決できると思います。ここでいう採用基準とは、コミュニケーション能力が高いとか、リーダーシップが発揮できるといったものではないので、少し注意が必要です。それらの言葉も一見すると明確な基準であるというイメージを持ってしまいますが、実際のところケースバイケースであることがほとんど。採用基準としては適切ではないことのほうが多いのです。ここまで読んで「えー、そんな曖昧な採用をしているのは、一部の企業じゃないの?」と思った人も多いでしょう。しかし、多くの企業は採用基準っぽいものを作っているのですが、結果として曖昧なまま、人を採り続けているのです。それにもちゃんと理由があります。

 採用基準を曖昧なものにしている大きな原因の一つに「人事部が採用する」という仕組みがあります。人事部が採用するのは当たり前だろうと思っている人も多いでしょうが、そうとは限りません。米国など、海外の事情に詳しい人なら、逆に「人事部が募集して、面接もして、採用を決定する」というプロセスに違和感を持つ人も多いでしょう。ここでは文字数の関係で細かいことには触れませんが、日本の採用プロセスはちょっと特殊なのです。

 考えてみれば、人事部の人間が現場の業務すべてに精通しているとはとても思えません。その人たちが応募者を判別するわけですから、必然的に「自分たちが見極めることができるポイント」に重きを置いてしまいます。人を採用する際に、最も大切なことがここで置き去りにされてしまうのです。

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