なぜ医薬品に「におわない」と書けるのか仕事をしたら“スネ”が見えてきた(3/4 ページ)

» 2013年01月09日 08時02分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

言葉に“歴史”が詰まっている

市場開発室の浜松英一氏

浜松:薬事法というのは「黒か白か」の世界ではないんですよ。グレーな部分があって、そこが難しい。解釈の仕方によって違ってくるわけですね。

土肥:厚生労働省におうかがいをたてたりするんですか? 「あの〜この表現って、ちょっとマズいですかね?」といった感じで。

浜松:それはありません。ただ薬事法に反することをパッケージに書けば、企業はその商品を回収しなければいけない……そんな事態になるかもしれません。各社はそんなリスクを抱えたくないので、あまり過剰な表現はしません。

土肥:なるほど。でもパッケージには「におわない」と書いていますよね。これって薬事法に反しないのですか?

――ここでリペアクトのにおいをかいでみる。

土肥:うーん……クリームを手にとってかいでみると、少しにおうかな? といった感じ。それをスネにつけると、ほとんどにおいませんね。でも人によっては「におうじゃないかっ!」と文句を言ってきたりしませんか?

浜松:弊社の歴史は長いので、お客さんからのクレームがこないであろう“基準”があります。つまり、お客さんがにおわないであろう製剤を使っているので、クレームはほとんどありません。

土肥:おー、さすがですね。会社の創業は1909年……100年を超えている!

浜松:弊社では、これまでにもパッケージに「におわない」と書いている医薬品を扱ってきました。その中で「これ、におうでしょう!」といったクレームがたくさんきていたら、それと同じような製剤を使って「においません」とは書きません。クレームが発生していないから「におわない」と書けるわけです。

土肥:知見があるわけですね。意地悪な質問をすると「におわない」の隣に「べたつかない」と書かれていますよね。実際に塗ってみると、少しべたつく感じもします。

浜松:「べたつかない」と言い切っていますが、脂を使ったクリームで“べたつかないモノ”はありません。ただ、においのところでもご紹介したとおり、過去に同じような製剤を使ってたくさんのクレームが来ていたら、このリペアクトでも「べたつかない」とは表現しません。

土肥:言葉ひとつとっても、歴史が詰まっているわけですね。

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