汗水たらしてネオン街に息抜きに訪れるサラリーマンからすると、思わず「日本人をナメるんじゃねえ」と怒鳴りつけたいところだろう。事実、このニュースの後、いかに不良外国人が六本木などでやりたい放題かとか、こういう不良外国人は日本から追い出せみたいな声がちょいちょい出た。
基本的にはそのとおりだと思う半面、誤解を招くような話も多い。例えば「外国人犯罪」に対する認識だ。この響きで多くの人は、生まれながらの犯罪外国人たちが、平和ボケしている日本に入国し好き勝手に荒し回っている姿を連想するが、事実はやや異なる。
覚せい剤密輸についてはご存じの人もいるかもしれないが、近年「外国人運び屋」が急増している。正確にはアフリカと欧州からの運び屋で、2007年は摘発数ゼロだったのが、2011年にはアフリカ44件と欧州39件と爆発的に増えているのだ。
1キロのシャブを呑み込んだジンバブエ人女性やら、スーツケースの二重底に白い粉を隠したチェコ人女性。なかには、東日本大震災のボランティアを偽って入国しようとした不届者もいた。
実はこのような状況を、5年ほど前に予言した人物がいる。このコーナーでも紹介をしたが、かつて海に荷を落として拾う「瀬取り」という手口で、北朝鮮から末端価格600億という大量の覚せい剤を密輸した暴力団幹部だ(関連記事)。亡くなる前にこんな話をしてくれたのだ。
「これからの密輸はプロがやることではなくなる。ヤクザにとってリスクが大き過ぎるから、借金のある大学生や主婦、ホームレスなんかの“素人”にやらせたりするだろうな。あとは外国人旅行者だな。アフリカとか南米とか」
世界的にみると、違法薬物は「20万〜40万円」(税関調べ)の報酬でそそのかしてカタギに運ばせる手口がポピュラーだ。ヤクザも国際化が進み、外国人犯罪組織と手を組む。日本式の密輸スタイルからグローバルスタンダードに移行するのでは、という読みは怖いくらいに的中している。
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