人気ゴルフ場の朝食が無料のワケクイズ王のすごい考え方(2/2 ページ)

» 2013年01月04日 00時00分 公開
[西沢泰生,Business Media 誠]
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答え:
ゴルフ場に遅刻するお客が激減すること

book 『壁を越えられないときに教えてくれる一流の人のすごい考え方』(アスコム)

 ゴルフ場には、キャディの割り振りやコース内の進行状況を管理する「キャディマスター」と呼ばれる職種の人がいます。この人たちの朝の大仕事が、遅刻するお客さまの対応。

 例えば、3人で7時からコースをまわるグループのうち1人が遅刻してしまうとスタートできません。その場合には、すでにメンバーが揃っている次のグループを先にスタートさせるのです。その前の遅刻グループは最後の1人が到着するのを待ってからスタートするなど、ゴルフ場の朝は何時に来るか分からない遅刻者への対応に、非常に手間と時間がかかるそうです。

 しかしこのゴルフ場では、朝食無料サービスを始めてから遅刻者が激減しました。きっと誰もが「タダで食べられるなら、少し早目に行ってゴルフ場で食べよう」と思ったのでしょうね。これによって、ゴルフ場は無益な遅刻者管理に追われることなく、本来のサービスアップに時間を割くことができるようになったというわけです。

 「損して得とれ」とはまさにこのこと。ビュッフェ方式の朝食分くらい、軽くペイしてしまうメリットです。お客さまもゴルフ場も両方ハッピーになれるこの発想。仕事でもプライベートでもお手本にしたいですね。

 目先の利益に走ったり、自分の部署だけ得をすることばかり考えていては、セコいし面白くもありせん。全体を上から見ることで、トータルでプラスになることを考えて実行するのが賢い選択だと思います。

 企画会社を経営する小山薫堂も「よい企画とはどんな企画?」と問われて、「いろいろなところに利益をもたらす企画」と答えています。

 敏腕プロデューサーとして有名な秋元康は、自身の著書『企画脳』の中でこう語っています。

 「伊勢丹の紙袋は他のデパートよりも少し大きいらしいです。お客様は、他で買ったモノもこの袋にまとめて入れて移動するので、結果、伊勢丹の『歩く広告』になります」

 軌道に乗って定着するサービスというのは、結局は皆に喜ばれるサービスなのですね。誰かは喜んだとしても、その裏で誰かが不幸になってしまっているというのは、いつかは破たんするサービスです。いつも、全員が満足できるアイデアを見つけることを心がけたいものです。

 本日の一言:相手も自分も、両方にメリットがある「システム」を考えよう。

【出典】『残念な人の仕事の習慣』(山崎将志著、アスコム)、『企画脳』(秋元康著、PHP)

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