イタリアでパーティ大好き元首相が復活か? 繰り返されるおバカ発言伊吹太歩の世界の歩き方(3/4 ページ)

» 2012年12月27日 08時00分 公開
[伊吹太歩,Business Media 誠]

ベルルスコーニの狙いは首相返り咲きではない

 一方で、「ベルルスコーニがもう首相の座に未練はないと語っている」という声も漏れ伝わっている。過去に3度も首相に選ばれていることもあるのか、今彼が狙っているは財務相の椅子だ。現在、財務相はモンティ首相が兼任しているのだが、さすがはベルルスコーニ、国民の支持をつかむのに財務相の座はかなり魅力があるとみて、すかさずそこを突いてきた。

 イタリアは、財政危機で長く苦境のどん底にあるギリシャのように、財政的には危機的状況にある。モンティの緊縮財政政策(公務員削減、徴税強化、財産税の復活)は国民を苦しめていることもあり、国民の間にはユーロに不快感を持つ人が非常に多く、リラに戻したいと考える人も少なくない。

 最近、ベルルスコーニは「モンティが欧州諸国のいいなりで、自分が政権にいたときよりも経済低迷を招いている」とモンティを批判していた。次の選挙では、ベルルスコーニの自由国民党は「反ユーロ」「ユーロからの離脱」をあおるのではとみられている。

 ベルルスコーニが財務相に興味があると語ることは、イタリア人の大きな関心事であり、ドイツが中心となって欧州諸国が押し付けてくる緊縮財政を「変えられる」という期待に変わる。財政政策に大きな発言力を持つことで、再びイタリア政界の台風の目になろうとしているのだ。

 ベルルスコーニが政府で再び重要な地位を手にすることになり、国際会議などに出席するようになれば、賢明なイタリア人には頭痛の種になるだろう。そう、ベルルスコーニの大胆すぎる失言だ。

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