年末年始にオススメする、震災関連の書籍相場英雄の時事日想(2/4 ページ)

» 2012年12月27日 08時00分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

 同じ11月末のこと。私は新刊のプロモーションで福島市を訪れた。地元の地方紙を訪問し、インタビューを受けた。その後、地元紙記者がこんなことを私に告げた。

 「福島はまだなにも終わっていない……東京のメディアは一斉に逃げたけど、地元の記者は逃げるわけにはいかない。情報を発信し続けるしかない」

 私自身、今年何度も福島県の各地を取材したが、もちろん同県の全てを知っているわけではない。当然のことながら、依存するのは大手メディアの情報が中心となる。この後、地元紙記者からは浜通りに関する壮絶な情報をいくつも聞いた。先の大阪のイベントの聴衆と同様、知っているつもりでいた私自身が、情報の落差の大きさにがくぜんとした。

まだまだある震災関連書籍

 当欄で何度も触れてきたが、在京の大手メディアのほとんどが被災地取材を切り上げ、「あれから何年何カ月?」のカレンダー記事や企画しか取り扱わない。目前に迫る大晦日や正月の風景にしても、仮設住宅や集会所、あるいは被災地の古刹(古い由緒のある寺)からの中継など、お決まりの素材ばかりとなるはず。

 繰り返しになるが、いまだに被災地ではがれきが高く積まれ、地盤沈下とともに冠水する生活道路の近くに住民たちが多く生活している。

 そこで少しでも被災地への関心のある読者向けに、また当欄を使ってオススメの書籍をご紹介する。大手メディアが埋め切れない、そして地方紙などを読むことができない読者には、時間をかけて現地の様子、あるいは今まで全く伝えられなかった当事者の声などが盛り込まれた書籍を紹介する。

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