若者のクルマ離れ――ブリヂストンがスマホアプリで模索するものとは?(3/3 ページ)

» 2012年12月25日 17時00分 公開
[まつもとあつし,Business Media 誠]
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3年間のプロジェクトで得られたものは?

――毎年、異なる取り組みを実施していますが、それぞれの効果はどうでしたか?

山本ひとみ 山本ひとみさん

山本 サービス提供中のDrive Linkは未着手ですが、それぞれのアプリでユーザー調査を行っています。コンテンツに対する好感度はもちろん、アプリ利用によってブランドへのイメージが向上したのか、どのような態度変容があったのか。ネットを使った効果測定の結果として、それぞれの施策で好感や共感が向上したことが確認できています。

 また並行して、アプリを使っていない人への調査も実施しました。「もしアプリの存在を知っていたらダウンロードしていた」「アプリのことを知って取り組みの新しさを感じた」といった回答も寄せられています。

――企業としてアプリを通じてブランドや商品を認知してもらうことは重要、しかし、それがあまり前面に出てしまうと共感してもらえなくなるというバランスが難しい取り組みでもあったといえそうですね。3年間のプロジェクトが終わりますが、今後はどのように取り組んでいきますか?

山本: そうですね。そのバランスを複数のプラットフォーム、3つのアプローチの異なるアプリで模索した3年間でした。そろそろトライアルから本格展開に向けての見極めの段階に入ってきました。

 ここでいったん腰を据えて、新規メディアと従来型メディアの役割をどのようにとらえるべきか、そしてどのように組み合わせていくと、ブリヂストンというブランドと相性が良いのかを見極めたいと思います。

 個人的には、マスメディアでは十分カバーできなかったコミュニケーション領域だと実感しています。これまでに得られた知見を生かして、さらに推し進めていくべきマーケティング施策でしょう。

スマートデバイスに見る「テレビ離れ」対抗の可能性

 これまでデジタル領域の広告は、バナー出稿やキャンペーン展開が中心だった。今回、スマホアプリによるブランド認知拡大を狙った、ブリヂストンのユニークな取り組みの一端を聞くことができた。

 クルマ離れという要因はあるが、さまざまなアプリや情報を扱えるスマートデバイス(スマートフォン、タブレット端末)において、商品やブランドの認知よりもユーザーに楽しんでもらえることを第一に、試行錯誤を繰り返したブリヂストンの取り組みからは学ぶべきことは多い。

 今後、いわゆるテレビ離れがさらに進む一方で、スマートデバイスの普及も拡がると予想される。こういった取り組みから得られた知見が生きる場面はさらに増えるはずだ。

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