コラム
» 2012年12月25日 08時00分 UPDATE

この世は無数の“仕事”による壮大な織物である

「仕事」というものは、1人で閉じてできるものではない。今日の自分の仕事は、他者が行ったさまざまな仕事がインプットとなり土台となったものだ。そして自分がアウトプットした仕事は、次に誰かの仕事の材料や土台となるかもしれない。こうして世界は、無数の仕事によって織り成されている。

[村山昇,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール:村山昇(むらやま・のぼる)

キャリア・ポートレート コンサルティング代表。企業・団体の従業員・職員を対象に「プロフェッショナルシップ研修」(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)を行う。「キャリアの自画像(ポートレート)」を描くマネジメントツールや「レゴブロック」を用いたゲーム研修、就労観の傾向性診断「キャリアMQ」をコア商品とする。プロ論・キャリア論を教えるのではなく、「働くこと・仕事の本質」を理解させ、腹底にジーンと効くプログラムを志向している。


 かのアイザック・ニュートンは言った──「私が人より遠くを眺められたとすれば、それは巨人の肩に乗ったからである」。つまり、自分より過去に生きた人たちの偉大な知識を土台にしたからこそ、自分の仕事・業績はあったのだと。

 「仕事」を1つ定義するとすれば、「事前(Before)→事後(After)で何らかの価値を創造すること」となるだろうか。そう考えると、仕事には例えば、「A→A±(増減)」もあるし、「A→B(変形)」もあるし、「0→1(創出)」のようなものもある。

 いずれにせよ、仕事は時間的にみれば「INPUT→THROUGHPUT(THRUPUTと略)→OUTPUT」の流れでなされている(次図)。

 例えば、椅子を作る仕事は、木材が原材料としてINPUT(投入)されると、作り手の能力や意志・身体といったTHRUPUT(価値創造回路)にかかり、椅子がOUTPUT(産出)されるといった具合に。

ah_nau1.jpg

 それで仕事というものは、1人で閉じてできるものではない。例えば、職人が椅子を作る時、手にする木材は誰かが木を切って運んでくれたものだし、工作機械も誰かが設計し、製造し、販売してくれたものだ。また、職人が学んできたモノづくりの知識は、過去の職人たちからの贈りものである。そして、当然ながら、そうした仕事をするには健康な身体がいる。そのためによく食べる。食べるとはすなわち、動植物の生命を摂取するということだ。だから職人の仕事のINPUTは、実はほかから提供されるさまざまなOUTPUTで成っている。

 これは同時に、その職人のOUTPUTが次に誰かのINPUTになるということでもある。その斬新な椅子のデザインはほかの椅子職人のインスピレーションを刺激するかもしれないし、その椅子を購入した人がそこに座ってベストセラー小説を書くかもしれない。そう考えると、仕事というのはずっと連鎖していくイメージが生まれる(次図)。このとき、仕事は経時的変化であるとともに、無数の仕事が空間的な広がりをもって複雑につながり合うことにもなる。

ah_nau2.jpg

 そして、この連鎖のイメージを巨視的に発展させていくとどうなるか。私は次のようなイメージにたどり着く──この世界は、無数の個々が無限様に成す「INPUT→THRUPUT→OUTPUT」の価値創造連鎖による壮大な織物である。それを表現すると次図のようになる。

ah_nau3.jpg

 地球という惑星が特異なのは、1つには青い水と空気があり生物が存在していること。そしてもう1つは、生物のなかの1種類である人間が、個々それぞれに「仕事」という一糸で価値創造という織りものを日々刻々行っているということである。きょうの私のこのアウトプット記事も、世界を織り成す一糸となり、次の誰かの仕事のインプットになるやもしれない。(村山昇)

 →村山昇氏のバックナンバー

manabi.jpg

Copyright (c) 2017 INSIGHT NOW! All Rights Reserved.

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -

ITmedia 総力特集