“不毛地帯”の日本で、なぜ黒ビールが売れたのか仕事をしたら“黒ビール”が売れた(1/5 ページ)

» 2012年12月21日 00時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 「ビールは好きだけど、黒ビールは苦手」という人も多いのではないだろうか。しかし2012年は「黒ビール元年」と言っていいほど、売れに売れた。黒ビールの“不毛地帯”とも言える日本で、なぜ売れ始めたのか。「スーパードライ ドライブラック」のマーケティングを担当する、アサヒビールの室井靖之さんに話を聞いた。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。

2012年、黒ビールが売れた

2012年に売れた「スーパードライ ドライブラック」

土肥:日本一(!?)ドライブラックを飲まれている室井さんに、ご登場いただきました。聞いたところによると、4月に発売してから毎日飲んでいるとか。

室井:日常的に飲める黒ビールを作ろうというコンセプトで開発したのですが、本当にそうなのか。3カ月飲み続ければ、分かることがあるのではないか。6カ月後には、誰も知らなかった境地が見えてくるのではないか。そんなことを考えながら、自分の身体で試しているといった感じですね。あ、でも適正飲酒は週5日※なので、対外的に「毎日飲んでいる」というのは、ちょっとまずいかも(苦笑)。

※アルコール健康医学協会では適正飲酒として「週に2日は休肝日」を推進している。

土肥:ということは、室井家の冷蔵庫の中はドライブラックがズラリと並んでいるわけですね。

室井:ですね。私の妻はビールがあまり好きではなかったので、「邪魔だなあ」と思っていたはず。でも何かのきっかけでドライブラックを飲んだところ「このビール、おいしい」と言ってくれました。これをきっかけに、最近ではピルスナービール(ビールの種類のひとつで、日本の大手ビールメーカーが販売する多くはピルスナータイプ)まで飲めるようになりました。

土肥:ほー、それはレアなケースではないでしょうか。多くの人は、まずピルスナービールを飲む。そして黒ビールを好きになる。でも室井さんの奥さんは、まず黒ビールを飲む。そしてピルスナービールを好きになる。逆ですね。

 この取材の前に、ドライブラックを飲んできました。黒ビールといえば“重さ”が特徴ですよね。ゴクゴクとたくさん飲むのではなく、ちょっとずつじっくり味わう人が多いのではないでしょうか。でもドライブラックは“軽い”。目を閉じて飲めば「えっ、これが黒ビール?」という人もいるかもしれません。ただスーパードライと比べると、やはりコクがありますね。

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