窓ガラスの汚い鉄道は潰れる、かも杉山淳一の時事日想(4/5 ページ)

» 2012年12月21日 08時02分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

北関東の某社も危なかった

 窓ガラスの汚い路線といえばもう1つ。北関東にある。この鉄道会社は川沿いの眺望が見事で、桜の時期、紅葉の時期も含めて、冬季以外は沿線の景観をアピールしている。それにもかかわらず窓が汚い。車窓がウリの観光路線で窓が汚いなんて致命的だ。その後、同社はトロッコ車両を導入し、最近も新型のトロッコ車両を導入した。窓を拭くゆとりはないからと、いっそ窓のない車両を導入したらしい。本末転倒な気がする。

 もっとも、この鉄道会社は地元自治体の支援が決まると改心したようで、キャラクターを導入したり、イルミネーションで駅や列車を飾ったり、無人駅にボランティア駅長制度を導入したりと新たな取り組みを始めている。なかでも秀逸な取り組みとして、車両清掃そのものを鉄道ファン向けのイベントにした。鉄道が大好きな鉄道ファンを呼び、車両基地で車両に触れる機会を作った。

 この会社……わたらせ渓谷鐵道は賢い。窓がきれいな観光路線はリピーターがつくだろう。社員や地元のボランティアも窓ガラスに気を配ってくれるかもしれない。窓をきれいにするというだけで、そこに関わる人の気力を高めてくれるはずだ。

 逆に、窓ガラスについて秀逸な会社を2つ挙げると、その1つは富士急行だ。富士山の眺望を大切にする同社は、終着駅の河口湖駅構内に洗車機があり、ホームから車庫へ引き上げるルート上に設置されている。到着した観光特急は折り返す前に洗車。さすがに毎日、全車両ではないと思うけれど、窓ガラスの大切さを知っている。

富士急行は列車到着後すぐに洗車

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