「就活できない」就活生が急速に増加中サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(2/3 ページ)

» 2012年12月17日 08時00分 公開
[サカタカツミBusiness Media 誠]

「大して就活をしていない」学生が半数近くいる

 「就活ナビサイトが登場し、エントリーが簡単になったから、就活生がたくさんの企業を受けなくてはならなくなった。そのため競争が激化して、大変な苦労をしている」という話をよく耳にすると思います。就活の現場を知らない人からしたら、就活のプロっぽい人が、さまざまなメディアでそういうたぐいの話をするので「なるほど、そういうことなのだろう」と思い込むのも仕方ないことなのですが、現実は少し違います。

 先ほどの調査をもう一度見てみましょう。同級生たちはもう内定が出始めている時期なのに、エントリーシートを提出したことがないという就活生が約16%いるのです。1社から5社でも約24%。約4割の就活生たちは、その程度の社数にしかエントリーシートを提出していないのです。選考にエントリーシートを課さない企業もあるので、だから受験している社数が少ないとは言い切れないのですが、それこそ、ちまたで喧伝されるような「エントリーシート提出数、100社は当たり前」というような就活生は、本当にごく一部なのです。

エントリーシートを出した数(「2013年 新卒採用 大学生の就職活動ふり返り調査」より)

 一方で、こういうデータを見ていると「ものすごく頑張っている」就活生と「まったくなにもやっていない」就活生の二極化が進んでいることが分かります。就活狂想曲的な取り上げられ方をするのは、前者のタイプ。いろんな調査を見ても、だいたい5%程度の数字が浮かび上がってきます。就活生をどのくらいの人数とするかによりますが、だいたい50万人程度と言われていますから2万5000人程度となるでしょうか。人数に換算すると意外に大きい数字ですが、問題はもっと別のところに潜んでいます。それは、先の調査で「内定が出始める時期」にもかかわらず、就活を「ほぼやっていない」層は、10から15%程度もいることなのです。

 先の数字に置き換えてみると、7万5000人程度は、就活が始まって他の人には内定が出ているというのに、ほとんど就活には取り組んでいないという現状があるのです。これは「ほぼ」やっていない層に絞った数字で、少なくとも「たいして就活やっていない」層(=ここでは適性検査を受けた回数が5回以下と乱暴に仮置きしてみました)が40%近くもいるわけですから、半数近くの就活生が、それほど就活を熱心にやっているわけではないことが浮き彫りになってきます。ただ、これはあくまで調査の数字に過ぎません。実際に、嫌というほど就活に取り組んで、辛い思いをしている学生がいることも事実です。が、その事実と、多くの人の行動がイコールではないことも、忘れてはならないのです。熱心に就活に取り組んでいる学生が内定を獲得している時期に、まだなにもしていないで、当然内定もないという学生が多いという側面を見落とすと、「就活生が可哀想」という身も蓋もない話になってしまうのです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.