「就活できない」就活生が急速に増加中サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(1/3 ページ)

» 2012年12月17日 08時00分 公開
[サカタカツミBusiness Media 誠]

連載「就活・転職のフシギ発見!」とは?

 就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。

 使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。

著者プロフィール:サカタカツミ

 クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』『就職のオキテ』がある。

 個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントに辛いです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata


(写真と本文は関係ありません)

 「原稿遅れます」とメールをしたら、普段メールの返信が遅い編集長の吉岡綾乃さんから珍しく素早い返事が来ました。

 「大丈夫です。ギリギリまで粘ってタイムリーな原稿を書いてください。よろしくお願いします」と書かれたメールの文末には「P.S. カレーは冬でもおいしいですね!」という追伸が。そのメールに添えられていたカレーの写真には、なぜか「うどん.jpg」というファイル名が付いていました。カレーなのにうどん、うどんなのにカレー……? いったい何なのか、と謎掛けのようなことを考えていたら、就活できない就活生が急増しているということが、ふと頭をよぎったのです。そう、就活生なのに、就活ができないのです。

就活生は本当に大変な思いをしているのか

 リクナビやマイナビを始めとした就活ナビサイトは、そろそろ就活を始めますよというタイミングや、内定が出始めたという時期に、就活生の「行動調査」のようなものを、毎年やっています。見たことがある、という人は少ないでしょうが、ウェブサイトなどで公表されていますから、その気になれば誰でも見ることができます。その数字をチラ見しただけでも、世の中で言われている「狂気じみた就活」が、意外にそうでもないということが分かります。

 例えば、この時期になると東京ビッグサイトや東京ドームなどで開催される「合同説明会」に参加するリクルートスーツ姿の就活生が、ある種の風物詩のようにテレビのニュース番組などで紹介されます。そこには、同じような格好をした若者が、それこそ信じられないくらいの人数で行列をなして、一種異様な光景を作り出しています。それを見た多くの人は「うわー、就活生ってあんなことをしなければならないのか」とか「あんな行列を作って、社畜になる努力をするのは馬鹿げているよ」という感想を持ってしまいます。

 しかし、内定が出始めたという時期に実施されたある調査を見てみると(参照リンク、PDF)、合同説明会に繰り返し参加したという就活生はあまり多くない。「0〜2回」の就活生で全体の半数弱を占めています。ちなみに、1回も参加しないという就活生も約16%いるわけですから、多くの就活生が、毎回あんな苦労をしているとはいえないのです。テレビの画面や新聞の写真として「見せる絵づくり」をしようと思えば、行列を作っている光景にニュースバリューがあるのは当然。それを観ることで勘違いする人が出るのは仕方ないことですが、現実はそうでもないのです。

リクルートキャリア「2013年 新卒採用 大学生の就職活動ふり返り調査」より。合同説明会に参加した数
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