自民党は“日本を取り戻せる”か?藤田正美の時事日想(2/2 ページ)

» 2012年12月17日 08時00分 公開
[藤田正美,Business Media 誠]
前のページへ 1|2       

自民党は“日本を取り戻せる”か?

 自民党が決断を迫られる問題がもう一つある。それはTPPだ。「聖域なき関税撤廃が条件なら交渉に参加しない」というのが自民党の基本的な立場だ。しかし建前としては聖域なき関税撤廃でも、交渉の過程で猶予期間を設けるとか、例外規定を盛り込むとか、さまざまな方策があるはずだ。それを交渉するのが当然のことだが、どうも自民党は腰がすわらない。伝統的な支持票である農村票が怖いということなのだろうが、その一方で日本の農業は壊れかけている。そして壊してきたのが、長きにわたる自民党の農政であることは間違いない(この点では民主党の責任はほとんどない)。

 TPPに関しては農協だけでなく、日本医師会など他の支持母体も反対を表明している。ただ、日本経済全体のことを考えれば、TPPから外れるリスクと、入ったときのメリットを比較して慎重に選択しなければならない。さらに言えば、経済的側面だけでなく、政治的あるいは外交的な側面も検討しなければなるまい。

 政治とは、短期的には不利益に見えても長期的な国益を追求するために国民を説得するものだ。自民党がそれを本当に実行できるかどうか。こうした選択の過程で問われる。もし安倍政権が2007年の参院選で大敗した轍を踏むことを恐れて、大胆な政策を打ち出すことを日和ってしまえば「日本を取り戻す」のではなく「日本を後戻りさせる」ことになる。その分岐点はすぐに来る。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.