子どものためのつもりが、逆にプレッシャーをかけてませんか――お母さんのための就活講座サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(1/3 ページ)

» 2012年12月10日 08時30分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

連載「就活・転職のフシギ発見!」とは?

 就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。

 使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。

著者プロフィール:サカタカツミ

 クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』『就職のオキテ』がある。

 個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントに辛いです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata


(写真と本文は関係ありません)

 「手羽先は、世界の山ちゃん派ですか? それとも風来坊派ですか」と、よく分からない質問をし始めた編集長の吉岡綾乃さんと、先週の原稿について振返っていたときのことです。

 「お父さんのための就活講座は、普段のサカタさんの記事に比べてあまり読者の反応がありませんでしたね。今週はお母さんとおっしゃってましたが、大丈夫でしょうか」

 ……確かに不安です。男性読者が9割というBusiness Media 誠で、「お母さん」は完全にターゲットから外れている(汗)。ただ、最近のお母さんは、以前のお母さんとはまるで違っている。PTAにもそういう変化が現れていて、その変化にはいくつかの仮説が立てられる、という井戸端会議から、今週の原稿はスタートしてみようと思うのです。

ここ数年、PTAのお母さんたちが変化している

 ある仕事で主婦について細かく取材をしたことがあります。その仕事とは直接関係がないけれど、あまりに興味深い現象だったので、ずっと覚えていたことがありました。それは、「最近、PTAでの会議がスムーズにいくようになった」というトピックです。

 以前は、PTAで何かを話し合っても、そもそも話し合いの“作法のようなもの”が分からない参加者(多くが主婦でした)が多くて、なかなか結論に至らないというケースが少なくなかったとか。しかし、最近のPTAではアジェンダが作成され、会議を進行する議長役の人や議事録を作成する役割を担う人が出現して、情報が即共有される仕組みが整いつつあるそうです。

 PTAに参加する皆さんのリテラシーが上がったということなのでしょうが、これについて現場では「もしかすると、会社で働いたことがある女性が増えたことが要因の一つかもしれません」という声が上がっていました。今の就活生のお母さん世代は1985年に改正された「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律」(いわゆる「男女雇用機会均等法」、参照リンク)に最も影響された女性たち。もちろん、それ以前にも女性たちは働いていましたが、その待遇や仕事の内容は、男性のそれとはかなり違っていました。

 ですから、会議に参加したことがない、全体を見て仕事を進めたことがない、という女性がたくさんいたのです。学校を出たらすぐ家庭に入り、就労経験なしで主婦になったという女性も今より多かったので、PTAという場での「仕事」に対して、適応できる人材がいなかった(女性全体を見れば人材はいるが、そういう人は有職なのでPTAに参加していなかった)可能性がある。でも、先の改正法以降に働いた経験を持つ主婦なら、そういうリテラシーを身につける機会があったかもしれない。だからPTAの運営がスムーズになったのかも、というちょっと乱暴な仮説を、当時話し合ったことを覚えています。

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