弁理士の仕事とは? 知財を学べばこんな未来が待っているK.I.T.虎ノ門大学院 教員と修了生の声(1/2 ページ)

「知的財産のプロとして活躍したいけど、会社で忙しく働いているから」とあきらめていないだろうか。働きながら学び……知財業界へキャリアチェンジ、または弁理士の資格を取得する。そんな将来を実現するために、K.I.T.虎ノ門大学院の教員陣と修了生の声を聞いてみよう。きっと参考になるはずだ。

» 2012年12月10日 10時00分 公開
[PR/Business Media 誠]
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 K.I.T.虎ノ門大学院(以下、K.I.T.)は、金沢工業大学が2004年4月に東京・虎ノ門に開設した、1年制の社会人大学院だ。K.I.T.で学べるカリキュラムは「知的創造システム専攻」と「ビジネスアーキテクト専攻」の2つの専攻に分かれており、特に前者については知的財産分野の第一線で活躍する教授陣から高度かつ実践的な教育を受けられることで知られている。開校以来、弁理士の資格取得者を含め、既に200名以上の知財専門家を世に送り出している。

 そんなK.I.T.が11月21日、一般向けの公開セミナー「知的財産キャリアのススメ〜その将来性と魅力を知る〜」を開催した。このセミナーでは知財業界へのキャリアチェンジに興味がある社会人、あるいはさらなるスキルアップを図りたい知財専門家に向けて、同大学院の教員と修了生が最新の業界事情を語った。以降でその内容を、かいつまんで紹介しよう。

知財業界には一体どのような仕事があるのか?

K.I.T.知的創造システム専攻の准教授で弁理士としても活躍する上條由紀子氏

 本セミナーの冒頭、K.I.T.知的創造システム専攻の准教授で弁理士として活躍する上條由紀子氏が登壇し、「知的財産キャリアへの扉を開こう!」と題した講演を行った。上條氏はまず、「そもそも知的財産とは一体何か?」というテーマで話を切り出した。

 「ブランド商品やキャラクターを保有する企業に対して、そのネーミングについては『商標権』、デザインについては『意匠権』という権利が付与されます。また技術的な発明については『特許権』という権利が与えられ、法律で保護されます。このように目に見えない知的生産物全般のことを『知的資産』、もしくは『知的財産』と総称しています。そして知的財産に対するもろもろの権利は『知的財産権法』という法律に基づき、特許庁が権利の出願を受け付け、審査を経た後に出願者に対して付与されます」

 では、知的財産にかかわる仕事やキャリアにはどのようなものがあるのだろうか?

 中でも最もよく知られているのは特許庁への出願手続きの代行と企業の知財業務全般を支援するための国家資格「弁理士」だ。弁理士になるには直接国家試験を受けて合格する道以外にも方法がある。K.I.T.のような知財系大学院で所定の単位を取得し修了することで、弁理士試験の一部免除を受けたり、司法試験に合格して弁護士登録を行うと、同時に弁理士として登録することも可能になっている。

 弁理士として特許事務所に所属したり、自身で事務所を構える以外に、企業内の知財部や特許部で働いたり、あるいは大学や研究機関の知財部門で研究成果の権利化の仕事に携わるケースも多い。近年では官公庁や自治体の中にも、地域産業振興策の一環として知財を扱う部署を置くところが増えているという。

 また、知財業界の特徴の1つに、他業種からの転職組が多いことが挙げられる。

 「よく、『他業種から知財業界への転職は難しいのですか?』という質問を受けます。当然、知財に関する知識は必須になるのですが、実はそれだけでは知財の実務は務まりません。むしろ営業やマーケティング、技術開発といった異なる業種で経験を積んだ方のほうが、その後に知財の知識を身に付けてこの業界で大活躍するケースが非常に多いですね。また『知財=技術特許』というイメージからか、理系のバックグラウンドがないと務まらないと思っている方も多いのですが、文系出身の方でも商標や意匠の分野で数多く活躍されています」

 K.I.T.知的創造システム専攻でも多様なバックグランドを持つ社会人が日々学んでおり、その多くは修了後に特許庁や法律事務所、特許事務所、企業の知財部門など、さまざまなフィールドで各々のキャリアを歩んでいるという。

弁理士の仕事とは一体どのようなものなのか?

K.I.T.知的創造システム専攻で客員教授を務め、弁理士として活躍する橋本千賀子氏

 続いて、K.I.T.知的創造システム専攻で客員教授を務める、弁理士の橋本千賀子氏が登壇し、「女性弁理士の実情とその働き方について」と題した講演を行った。彼女は、今年で登録25年目を迎えるベテラン弁理士。これまで国内外の商標、意匠関連のさまざまな実務に携わるとともに、海外の知財業界との交流活動などにも積極的に取り組んできた、業界の第一人者だ。

 橋本氏は1987年、慶應義塾大学法学部を卒業した翌年に弁理士の国家資格を取得し、そのキャリアをスタートさせた。その後、特許事務所に勤めながら主に商標や意匠、不正競争防止法にかかわる業務に携わってきた。現在では独立して、自身の事務所を構える。彼女の弁理士としての仕事は主に特許庁への出願手続きだが、その前段階での調査業務も大きな割合を占めるという。

 「企業が商標を登録する際、既に登録済みの他社の商標とぶつからないよう確認する必要がありますが、キャッチーなブランド名やネーミングは、得てして既に登録済みであることが多いのです。そこで企業の商品企画部門では、あらかじめ複数のネーミング候補を挙げて、それらが他社の商標を侵害しないかどうか、私たち専門家に調査を依頼します。私たちはそれを受けて、データベースを検索して調査を行います」

 近年ではビジネスのグローバル化を背景に、外国での商標登録の調査を行う機会も増えている。その際には海外の知財専門家の手を借りる必要があるため、英語での交渉スキルも弁理士にとって不可欠になりつつあるという。

 また特許庁への商標の出願がすんなり通ればいいが、もし通らなかった場合には企業からの依頼で特許庁の審判、あるいは知財高等裁判所での訴訟で争うこともある。この場合にも弁理士は依頼企業の代理人として、企業の担当者と密接にやりとりしながら審判手続き、訴訟手続きを代理しなければならない。

 晴れて商標が登録された後にも、その商標の権利を行使する手続きにかかわる機会も多い。ここで言う「権利の行使」とは、商標権の侵害への対応を指す。典型的な例としては、ブランドの模造品の摘発などがある。橋本氏も税関からの依頼を受けて、海外から入ってきた偽ブランド品の差し止め現場に立ち会ったこともあるそうだ。

 橋本氏の専門である商標や意匠は、商品のブランディングやネーミングにかかわる分野であるため、さまざまな業界からの依頼がある。例えばアパレル、化粧品、百貨店、自動車、出版、映像、音楽など。企業からの相談に乗ることで、その会社のビジネス発展に貢献できるかもしれない。このことは弁理士という仕事の最大のやりがいだと彼女は言う。

 「世界中で展開される商品やサービスのネーミングやデザインに直接かかわれますし、さまざまな業界の方々とのお付き合いを通じて見識を深めることができるのも、この仕事の魅力だと思います」

 最後に橋本氏は、知財にかかわる人、もしくはこれから知財業界を目指す人に向けて、仕事の心構えについて述べた。

 「法律に関わる仕事なので、高い正確性が求められますし、常に最新の法改正について勉強する必要があります。また外国語のスキルもできればほしいところです。知財は今後、日本でますます重要視されていくでしょうから、将来性のある分野であると同時に、競争も激しくなってくるでしょう。そこで生きていくためには頑張って勉強する必要がありますが、頑張ったぶんだけきちんと報われる、とてもやりがいのある仕事でもあります」

平日にもかかわらず、多くの人がセミナーに詰めかけた(場所:K.I.T.虎ノ門キャンパス)
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