もちろん、この本はマスコミ関係者向けではなく、一般の読者にも広く読んでいただきたい。震災犠牲者のもとを訪ねる記者たちの項目は、胸をわしづかみにされるようなエピソードがたくさん詰まっている。多くの在京メディアが伝えなかった震災の一面を読みとることができるのだ。
東北でプロモーションを展開する過程で、私は度々地元民からこんな言葉を聞いた。
「今まで大手在京紙を購読していたが、震災を契機に止めた。震災後の生活に密着した情報が載っていないから。地元紙だけで充分だと思うようになった」
誰に向けて情報を発信するのか。同業他社との競争や、取材先の顔色ではなく、読者の顔を見たメディアは強いと痛感した。
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