コラム
» 2012年12月06日 08時00分 UPDATE

相場英雄の時事日想:若手記者はこの本を読め! 小さな地方紙が記したドキュメント (1/4)

大手メディアの誤報など、読者を惑わす報道が後を絶たない。現場ではまともな教育を受けていない記者が少なくないようで、そんな人にオススメする本がある。それは小さな地方紙が記したドキュメントだ。

[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

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1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『震える牛』(小学館)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、『鋼の綻び』(徳間書店)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 ここ数カ月、私は頻発する大手メディアの誤報やその背後関係について当欄で指弾してきた。だが、危ういウラ取りや稚拙な速報など、読者や視聴者を惑わす報道は後を絶たない。

 今回は視点を変え、大手各社に在籍する若手記者向けに良書を紹介する。人員削減や同業他社への転職ラッシュでまともに現場教育を受けていない若手が少なくないと聞く。最良のテキストは、小さな地方紙が記したドキュメントだ。

21万部の地方紙が見せた報道魂

yd_aiba2.jpg 風化と闘う記者たち:忘れない平成三陸大津波』(著・岩手日報社編集局著、早稲田大学ブックレット)

 先週、私は新刊のプロモーションのため、東北地方を訪れた。福島市から仙台市、そして盛岡市で自著の宣伝活動が終了した。その際、いつも訪れる盛岡市内の書店の店頭で1つの新刊タイトルが目に入り、思わず手に取った。東日本大震災関連の書籍を専門に扱う棚の中で、目立ったのが以下の新刊だった。『風化と闘う記者たち:忘れない平成三陸大津波』(著・岩手日報社編集局著、早稲田大学ブックレット)。

 岩手日報は多くの県民が購読する地方紙で発行部数は21万部。岩手県の中では最大のメディアだが、数百万部単位の発行部数を誇る在京紙からみると、その存在は小さいと言わざるを得ない。

 だが、店頭で私は新刊の目次を一読し、即座にこの本を購入した。その理由は、震災時の岩手日報の記者が記した詳細なドキュメントが載っているほか、震災の記憶の風化が進む中、同紙がどのような取り組みをしてきたのが、綴られていたからだ。

 また、大手メディアの取材現場で決定的に欠落している「ウラ取り」や「取材姿勢」のノウハウが満載されているのだ。これらを勘案し、私がこの本を紹介することにより、若手記者向けの“教科書”として読んでもらえるのではないか、と思ったのだ。

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