石原慎太郎が公約に「カジノ」を入れないのは、なぜ?窪田順生の時事日想(1/3 ページ)

» 2012年12月04日 08時01分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


 いよいよ選挙報道が増えてきた。

 民主党から大量離党、ほかでもくっついたり袖にされたりという結果、気がつけば11もの政党が乱立したことに加え、「脱原発」とか「卒原発」とか似たようフレーズが飛び交うわで、ぶっちゃけ細かい違いがよく分かんねーや、という人も多いことだろう。

 なかには「いいオトナが政治に関心がないってのはマズいな」と分かったフリをしている方もいるかもしれないが、そこは安心してほしい。政治に関心がもてないのは、あなたのせいではない。報じ方が悪いのだ。

「中立公平」という押し売り

 メディアというのはそれぞれが取材・分析した結果を報じ、その判断は読者や視聴者に委ねればいいのだが、日本のテレビや新聞は「私たちが報じているものこそが中立公平ですよ」みたいな押し売りをする。「中立公平、唯我独尊」ではないが、自らを神のように世の中に俯瞰(ふかん)する存在だと思い込んでいるわけだ。

 だからマスコミ全社が自分たちの媒体で、11党を分け隔てなく平等に扱う。そんなの当たり前じゃないかと思うかもしれないが、そこが実は国民にかなりの不利益を招いている。

 例えば先週末、テレビ局各社は11党をスタジオに招き討論なんかをやらせていた。どこもだいたいテーマは原発と経済政策の2つぐらいだ。CMなどをさっぴくとオンエアは正味40分もないので、ワンテーマで各党の政策を訴えられるのは2分もない。当然、中味はペラペラとなり、似たりよったりの話になる。つまり、平等に報じるため、どうしても広く浅くになってしまうのだ。

 こういう選挙報道番組を2週間ぐらい流されると、日本人は素直なので「どこも同じじゃないか」とか「誰がやっても同じだろ」という気持ちになっていく。投票に行く人が年々減っていくのも当然だ。

 本気で政治に関心をもってもらいたいのなら、「記者クラブ」という利害調整の場もあるのだから各社で分業して各政党をもっと深く掘り下げるべきだ。

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