親ができることはインターネットや雑誌を読んで収集した情報を受け売りすることではありません。子どもの「勘違いを解く」ことです。いままで自分がやってきたことに価値があるのかどうか、就活生である子どもの多くは自信がありません。なので、その価値があるかどうかをアセスメントしてあげてほしいのです。
そのためにも、少なくとも自社の新卒採用の状況を理解して、どういう基準で採用しているのかを知っておいて欲しいのです。例えば、ここ数年の若手と呼ばれる後輩たちの「出身校」や「専攻」「サークル」や「学生生活」などを思い浮かべてみると、その傾向は見えてくるでしょう。そして、採用担当者の多くが「どこを見ているのか」が、垣間見えるはずです。人事の担当者に時間をもらって、実情をヒアリングするのもいいでしょう。いろいろな情報は足下にあるはず。それもかき集めてください。
その上で、自分の子どもが勘違いしていたり、夢見がちになっていたりする部分を指摘するのがお父さんの役割です。子どもに向き合う覚悟がないと、そういうことはできないかもしれません。ただ、それができるのは、就活カウンセラーや友達や、学校の先生ではなく、親の役割なのです。逆に、十分に頑張っていると分かったなら、精一杯応援してあげることです。自分を信じろ、大丈夫だと、キチンと背中を押してあげることです。親には親にしかできないことがあると、親自身が自覚することが大切なのです。
以下のような会話は、絶対にしてはならないことを肝に銘じてください。
お父さん 「雑誌に書いてあったけど、就活は大変だそうだぞ。お前はどうなのだ? 本当に大丈夫なのか?」
子ども 「えー……っと、まあ、大変は大変だけど。うーん、大丈夫かな」
どうだ? と聞かれて、子どもはなんと答えれば良いのでしょう。大丈夫かと聞いて、大丈夫だという答え以外にあなたは何を望んでいるのでしょう。何の中身もない問いかけは、子どもにプレッシャーをかけるだけです。そういうことしか言えないようなら、就活には口を挟まないことです。ジッと見守ると同時に、もし就職浪人したらということを想定して、進学や留年の費用を算段するほうが建設的ですし、子どもにも喜ばれるでしょう。それだって、「親にしかできないサポート」なのですから。
雑誌で仕入れた知識は、もっと後で、それこそ「親は相談する相手として信頼できる」と子どもが思ってから、具体的な業界や業種、社名を決める時に必要になってきます。まずは「親としての信頼を獲得する」ことから始めてください。「そんなの大丈夫だよ」と過信しているあなたこそ、就活生である子どもの足を引っ張るのです。ご用心を。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング