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» 2012年12月03日 11時00分 UPDATE

電力供給サービス:[緊急特集]大丈夫か?!東京電力の冬の供給力

冬の節電シーズンを目前にした11月の最終週に、東京電力の需給率が97%を超える非常事態が発生した。この冬の電力には余裕があったはずで、政府は節電目標を設定していないのだが...。原因は供給力を低く抑えすぎたことにある。電力会社の判断に頼ることなく、利用者側で需要のピークを抑える対策が必要だ。

[石田雅也,スマートジャパン]

 まず11月の最終週に起こったことを整理してみる。

11月26日(月):東京電力が当日の電力需給の見通しと電力4社からの応援融通を突然発表した。17時〜18時に需給率が97.6%(予備率2.4%)に達することが想定されるため、急きょ4社から最大100万kWの融通を受けることを決定したという内容だ。実際には需要のピークが想定を51万kW下回り、融通分を加えて需給率は94.4%にとどまった。

11月28日(水):16時30分前後から需要が大幅に増加、17時15分には需給率が97.1%まで上昇した(図1)。予備率が3%を切り、停電のリスクを伴う危険な状態に陥った。需要は26日と同程度だったが、他社からの応援融通を受けなかったとみられ、供給力が26日と比べて100万kW以上も少なかったことが厳しい状況を招いた。需要のピーク4291万kWに対して、供給力は4419万kWだった。当日の状況に関して東京電力からの発表は一切なかった。

toden_demand_1128.jpg 図1 11月28日(水)の電力需要。出典:東京電力

 冬の到来を前に起きた突然の事態に、利用者としては驚くばかりだ。直接の原因は、11月25日(日)の夕方から火力発電所の1基(出力60万kW)がトラブルによって停止したことにあった。もう1か所の火力発電所でも1基(出力60万kW)が11月20日から停止しており、そこに気温の低下から暖房の使用量が急増して電力需要の増加が重なってしまった。

 とはいえ、火力発電所のトラブルは珍しくなく、2基の運転停止で需給率が100%に近づくようなことは通常では考えられない。東京電力が供給力を抑えて余裕のない状態を継続していた可能性が大きい。

家庭とオフィスの需要が重なる17時〜19時

 冬の電力需要は暖房の利用状況によって大きく変動する。家庭とオフィスの双方で朝の9時前後に需要が増える一方、気温が上がる昼間は減って、次のピークが17時〜19時に発生する(図2)。オフィスで暖房や照明などが使われ続けている間に、家庭や店舗の需要が増えるためだ。気温次第では夏の昼間と大差ない電力が冬の夕方には必要になる。

peak_toden.jpg 図2 冬の1日における電力需要の変化。出典:東京電力

 東京電力が11月初めに発表した今冬の見通しでは、1月と2月に5000万kWを超える需要が想定されている(図3)。今年の夏は8月30日(木)の14時台に5078kWを記録したのが最高で、この時の需給率は93%だった。冬の寒さが厳しくなると同程度の電力が使われるため、夏を上回る供給力を2月のピークに合わせて準備する予定になっている。今冬の需給率は最高でも93%程度に収まるはずである。

toden_forecast.jpg 図3 東京電力による今冬の需給見通し(11月2日発表)。出典:東京電力

12月以降も安心できない

 東京電力は昨年の12月から、毎日の電力需要のデータをウェブサイトで公開している。それを見ると12月1日(木)には4310万kW、続く2日(金)には4440万kWの需要があり、今年の11月28日を大きく上回っている(図4)。

 問題になった11月28日の需要は想定できる範囲にあったわけだ。にもかかわらず、供給力は昨年の12月初めと比べて300万kW以上も少ない状態だった。

toden_2011dec.jpg 図4 2011年12月の需要実績とピーク時供給力(単位:万kW)。出典:東京電力

 こう考えると、東京電力の供給力が不安になってくる。実際には十分な供給能力があるはずだが、発電と受電のコストを抑制するために、最低限の供給力を維持しようとしても不思議ではない。何しろ巨額の赤字を出している会社であり、徹底したコスト削減を求められる状況にある。

 電力の利用者としては、冬の節電対策を強化せざるを得ない。万一の電力不足を回避するために、1日を通じた対策に加えて、朝の9時前後と夕方17時〜19時のピーク抑制策が必要になってくる。

 特に重要な対策は、やはり暖房である。空調機器の消費電力は運転を開始した直後に大きくなる。複数の空調機器があるオフィスや工場・店舗では、朝の運転開始を一斉に行わず、時間をずらすことが望ましい。この対策はピークを抑制して電気料金を抑える効果もある。

 夕方は17時よりも前に高めの温度で室内を暖めておき、17時以降の電力使用量を抑えるようにしたい。可能であれば終業時間を18時くらいに早めて、17時には暖房を止められるとピークの抑制効果は大きい。

 さらに蓄電池やガスコージェネレーションを導入すれば、ピークの時間帯の電力使用量を大幅に引き下げることができる。停電時の対策としても有効である。電力会社への依存度を下げるためにも、この機会に新たな節電機器の導入を検討したいところだ。

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