ニュース
» 2012年11月30日 08時00分 UPDATE

最年少政令市長が経験した地方政治改革(4):どうして行政はダメになってしまうのか (1/3)

政令市長として史上最年少の31歳で千葉市長に就任した熊谷俊人氏。累積債務が危機的な水準となった千葉市だが、なぜそんなことが起こってしまったのか。千葉市に限らず、行政がダメになってしまう理由を熊谷氏は指摘する。全4回シリーズの最終回。

[堀内彰宏,Business Media 誠]

 2009年に現役の市長では当時全国最年少、政令市長としては史上最年少の31歳で千葉市長に当選した熊谷俊人氏。それまでの60年間、副市長(=助役)出身の市長が続いた千葉市は役所体質がまん延し、累積債務が危機的な水準となっていた。

 就任直後に脱・財政危機宣言を発した熊谷氏。人件費削減、外郭団体の統廃合、事業仕分けなどの歳出削減を行うとともに、市税徴収率増加、資産経営やサービスの適度な有料化と歳入確保を打ち出し、ようやく財務指標に好転が見られるようになった。この3年間の取り組みについて熊谷氏自らが振り返った講演の内容を、4回に分けてお伝えする。

 →第1回:「なぜ千葉市で政令市最悪の財政が生み出されたのか」

 →第2回:「敬老会補助に銭湯無料券……千葉市が行ってきたバラマキ事業」

 →第3回:「『市長、俺だよ俺!』 千葉市の税金を滞納する人々」

※この講演は2012年5月22日に熊谷氏がグロービスで行った講演をグロービスの許可を得て記事化したものです。
ah_ku1.jpg 千葉市長の熊谷俊人氏

幕張新都心と千葉市がリンクしていない

熊谷 これからの千葉市の発展についてですが、千葉市は今、駅周辺で再開発がたくさん進んでいます。JR千葉駅の建て替えが2016年度くらいから順にオープンしていきます。駅前の姿が様変わりします。市がバブル時代に作って大変だったのですが、西口再開発ビルの建設も進むようになりました。それにともなって東口でも再開発が進んで、財政が回復するのとほぼ同時期にJR千葉駅周辺が大開発されるような形になります。

ah_ku2.jpg 西口再開発ビル イメージ図 (出典:千葉市)

 幕張新都心についても未整備区域にイオンモールを中心に大きなショッピングモールが誕生します。それから幕張の活性化に向けて、2011年度から企業と共同研究をスタートしています。千葉市に来て驚いたのは、意外と幕張が千葉市だと思っていない方がいらっしゃるんですね。幕張新都心というイメージの良いものを持っておきながら、千葉市と幕張がリンクしていないんです。

 これには理由があって、千葉市は幕張新都心にほとんど関与していないんです。幕張新都心を作ったのは県なんです。当時の千葉県知事が「やるぞ」と言って作り上げたんです。千葉市のエリアなのに治外法権のような感じで開発が進んできました。

 市長になった時、「千葉市にとって幕張新都心はすごく大事で、そこに全国的企業のイオンが本社を構えているので交流はあるんですよね?」と聞いたら、「ない」という話でした。「えっ、本当ですか。イオンさんと普段お付き合いないんですか?」と詳しく聞くと、幕張新都心の企業とはほとんど交流がないということでした。

 そこで幕張新都心の企業を「一緒にこれからやっていこう」と一社一社訪問したら、「市長、初めて来ましたね」なんて言われたのですが、そうやって幕張新都心も我々の大事な成長のエンジンとしてやっていこうということになりました。

 幕張新都心には世界的に活躍できる企業があるので、別に行政と付き合う必要なんかないわけです。一方、我々の足元には古くからの産業体があって、その人たちが行政とねんごろにやってきたわけです。その方々は昔からいるから街のために何とかしたいというボランティアの気持ちとしてもコンタクトしてくるし、ちょっとビジネスがうまくいかないから仕事くださいという意味でもくるわけです。そういう方々を旦那衆と呼んでいるのですが、そんな旦那衆との付き合いばかりで、せっかく新しい企業が生まれる場所が足元にあるのに、ずっとスルーしてきたわけです。

 それで経済政策考えろと言っても、ずれちゃいますよね。補助金出せみたいな話になっちゃうわけです。そうではなくて、業態というものは転換していって、古いものは淘汰されて新しいものが勃興していくわけですから、古いものの痛みは最小限にしますが、生き残らせる方向にしてはいけないんです。

       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

注目のテーマ