その「痛み」どうしていますか? “我慢は美徳”という日本人(2/5 ページ)

» 2012年11月29日 07時00分 公開
[Business Media 誠]

 ファイザーの調査によると、痛みを簡単に人に告げるべきではないという考え方に対して「非常にそう思う」人が12.5%、「ややそう思う」人が43.2%と、合計55.7%が賛意を表明している。くどいようだが、これは慢性的な痛みという悩みを、今現実に抱えて生活している調査対象者9400人中、5240人もの言葉であり、生き方なのだ。

約5割の人が「痛みを簡単に人に告げるべきではない」としている(出典:ファイザー)

 しかし、我慢は良くない。日本的な「忍の一字」のような精神文化がもう古いとか、「我慢は身体に毒だよ」といった一般常識的な意味ではなく、「我慢」は医学的に良くないのだ。近畿大学医学部奈良病院整形外科・リウマチ科の宗圓聰(そうえん・さとし)教授はこう言う。「実は、我慢することで、痛みが慢性化することがあります。また、我慢できなくなるほど痛みが強くなってからの治療では、薬でのコントロールが難しくなることがあります。長引く痛みは身体だけでなく精神的にも大きな影響を与えてしまいますので、治療の時期を逃さないよう、早めに医療機関に相談することが重要です」

 つまり、痛みを我慢することが、痛みを慢性的なものにしてしまうばかりか、我慢してひどくすることで、治療を難しいものにしてしまうワケだ。痛みに対して早めに反応すれば、深刻な事態を避ける役にも立ち、より早く、容易に痛みを解決することも可能になる。どう考えても「我慢は美徳」よりも、ラクで安心な方法と言えるのではないだろうか?

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