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» 2012年11月28日 08時00分 UPDATE

儲かっている企業にはワケがある:今、“ロイヤリティ経営”が注目されるワケ (1/4)

既存顧客の満足度を高めることで、リピート率を高めることに重点を置く“ロイヤリティ経営”が近年、注目されています。インターネット接続サービスの朝日ネットを例に、その実現メリットを解説します。

[渡辺聡、佐々木靖人,Business Media 誠]

著者プロフィール:

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渡辺聡(わたなべ・さとし)

 神戸大学法学部卒。NECソフトを経てインターネットビジネスの世界へ。2008年にクロサカタツヤ氏と共同で株式会社企(くわだて)を設立。現同社代表取締役。大手事業会社からインターネット企業までの事業戦略、経営の立て直し、テクノロジー課題の解決、マーケティング全般の見直しなどのコンサルティングサービスを提供している。現在、Business Media 誠で「ビジネスノベル新世紀」を連載中。主な著書・監修に『マーケティング2.0』『アルファブロガー』(ともに翔泳社)など。Twitter:@swmemo


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佐々木靖人(ささき・やすと)

2006年、California State University,

Bakersfield卒業後、コンサルティング会社に入社。アナリストとして企業の戦略立案、効率化支援業務、財務アドバイザリー業務、資金調達支援業務などに従事。2009年、レオス・キャピタルワークス入社。中小型エリアを中心に幅広いセクターの企業調査を実施。特にITへの理解は深い。


 近年、注目されている“ロイヤリティ経営”という言葉をご存じでしょうか。既存顧客の満足度を高めることで、リピート率を高めることに重点を置いた経営のことです。

 概念としては、目新しいものではありません。近江商人の「三方良し(売り手良し、買い手良し、世間良し)」にもあるように、ステークホルダーの満足度や地域社会など事業背景の健全性に目を向けた商売概念は現代ビジネスが生み出したものではないので、むしろ語られ尽くしたと言ってもいいかもしれません。

 今回取り上げるのは、インターネット接続サービス(プロバイダー)を営む朝日ネット。シンプルな形でロイヤリティ経営を実現している企業です。

 まずは朝日ネットの財務内容を見てみましょう。ユーザーからプロバイダー利用料を定期的(通常は月額)に得る商売なので、単価×会員数が売り上げの基本となります。

 会員数や売上高、営業利益の推移を見ると、きれいに右肩上がりとなっています。気になるところは、2010年度から2011年度にかけて会員数が伸びているのに売り上げの伸びが止まっているところくらいでしょうか。

ah_watanabe1.jpgah_watanabe2.jpg 朝日ネットの会員数推移(左)、売上高推移(右)

ah_watanabe3.jpgah_watanabe4.jpg 朝日ネットの営業利益推移(左)、売上高営業利益率推移(右)

 参考までに、インターネット接続サービス業界全体の動向は次図のようになっています。

ah_watanabe5.jpg インターネット接続サービス業界全体の動向

 業界としても右肩上がりの傾向があるので、一見、朝日ネットの業績は自然に達成できたものに思えます。しかし、業界最大手のニフティの業績を見ると、次図は2010〜2012年度だけですが、厳しい競争環境であることが分かります。ここ数年は、比較的体力のある大手各社でも苦戦する状況にあります。

ah_watanabe6.jpg ニフティのセグメント別売上高推移(青がインターネット接続サービス事業、出典:ニフティ)

 参考までにインターネット接続サービス事業を傘下に持つ類似の事業体幾つかとの利益率の比較をしてみたのが下記の図表となります。朝日ネットの利益率が類似他社群より頭一つ抜けて高いことが分かります。

ah_watanabe10.jpg インターネット接続サービス各社の収益性と成長率(2008〜2011年度)
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