コラム
» 2012年11月27日 08時25分 UPDATE

窪田順生の時事日想:おせっかいな「規制」は、人を幸せにするのか (1/3)

世の中には「おせっかい」とも言える“規制”がたくさんある。例えば「これは食べてはいけない」とか「これ以上、お金を借りてはいけない」とか。もちろん規制によって救われる人たちもいるが、過剰な縛りは人間を不幸に導いているのではないだろうか。

[窪田順生,Business Media 誠]

窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


 先週、『週刊ダイヤモンド』(11月24日号)の健康食品特集のなかで「野口英世もびっくり!? 有名人認証ビジネスの跋扈」というコラムを書かせてもらった。

 アルツハイマーに「効果」があるという「アルツマイナー」なるサプリメントがある。なかなかセンスのあるネーミングだが、それがかすんでしまうようなものが箱についている。あの野口英世の顔とともに、この文言が踊っているのだ。

 「野口医学研究所 特定品質推奨品」――。

 そんな団体聞いたことがないなと調べてみると、野口英世とはとくに縁もない方が、遺志をつぐために設立したそうだ。サプリ以外にも「野口ゴールドコレクション」なるマークを化粧品に与えているほか、「野口旅サポート」なんていう格安航空券や国内ツアーも扱っていた。

 いったいどんな“遺志”をついでいるのかは分からないが、ハタからみると野口英世を利用した「認証ビジネス」にしか見えない。若い人には1000円札のおじさんぐらいの印象かもしれないが、野口英世といえば、かつては教科書で必ず学ぶ「偉人」である。そんな立派な研究所のお墨付きなら安心ね、とシニアがこのサプリを買うわけだ。「医学」とはあるが、別に病院でもなんでもない機関が勝手にオススメをしているわけだから法的にはまあ問題はない。

 なんだかなあという商売だが、このようなきわどい売り方が生まれる背景には、健康食品の“規制”がある。ご存じの方も多いと思うが、健康食品というのは「薬」ではないので効果・効能をうたってはいけない。健康になりたい人のために商品を出しているのだが、それっぽいことを売り文句にすると、景品表示法だなんだと後ろに手がまわる。

 人間には知恵があるので、こういう歪みを前にして「はい、そうですか」という人ばかりではなく、どうにかしてやろうとあの手この手で抜け道を編み出す人もいる。歴史上の偉人に効能を言わせてしまおう、というのもそんな“努力の結晶”のひとつというわけだ。

yd_kubota1.jpg 野口英世を利用した「認証ビジネス」が、なぜはびこるのか
       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -