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» 2012年11月26日 08時00分 UPDATE

サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」:中高年を襲う「新しい肩たたき」の手口が巧妙になっている (1/2)

ネットで「こういう仕打ちを受けて、辞めるように追い込まれた」という悲痛な声を聞くことがあります。整理解雇ができない企業の“肩たたき”テクニックは年々巧妙化しており、肩書きがある人でも、安泰ということはありません。

[サカタカツミ,Business Media 誠]

連載「就活・転職のフシギ発見!」とは?

 就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。

 使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。

著者プロフィール:サカタカツミ

 クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』『就職のオキテ』がある。

 個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントに辛いです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata


ay_skt01.jpg 照明が暗い店で料理写真を撮るのは難しい……(写真と本文は関係ありません)

 インドの五つ星ホテルの料理長をやっていたという触れ込みのシェフがいる店でカレーランチを食べつつ、編集長の吉岡綾乃さんと打ち合わせをしたときのことです。「ここのレストランのシェフは、シッカリとした肩書きがあるから、日本でも十分働いていける。でもフツーに働いていると、どこでも通用する肩書きってなかなかないですよね」という話になりました。“って、あなたはまあ、編集長という立派な肩書きを持っているでしょう”と思っていたら、「編集長なんてうちの会社だけでもゴロゴロいるし、私の代わりなんていくらでもいますからね」なんて言い出すので、思っていたことを見透かされたのかと、ちょっとギョッとしたのでした。「とはいえ、肩書きは大事ですよ……」とつぶやきながら私が思い出したのは、肩書きはあるのに肩たたきされている悲惨な中高年のことだったのです。

肩たたきが乱暴になってきている

 「肩たたき」とは退職勧奨のこと。要は「あなたはこの会社に必要のない人になってしまったので、辞めてください。仕事はもうありません」と、いろんなカタチで伝えることです。

 経営不振や事業縮小など、使用者側の事情による人員削減のために解雇することを「整理解雇」と言います。日本で雇用の流動化が起きにくい原因の1つは、正規雇用した人を整理解雇するのが難しいためだと長い間言われてきました。「解雇四要件」で検索してみるといいでしょう。整理解雇の四要件と呼ばれるものが存在し(長くなるので説明は省きますが)事業が思わしくないというだけで整理解雇してはならないのです。長い間、そのルールが厳密に運用されてきたので、景気が悪い時に人を切って乗り切る、ということができなかった、とされてきました。しかし最近は、このルールがどうやら守られなくなりつつあるという話が、漏れ聞こえてきます。

 ネット上でも「こういう仕打ちを受けて辞めるように追い込まれた」という悲惨な事例が紹介されていますが、あれにしても「整理解雇は難しいので、普通解雇として処理したい」という思惑があってのことです。以前は企業側にも、丁寧に時間をかけて、退職後のことを視野に入れて解雇するという余裕があったのですが、残念ながらそういう牧歌的な時代は過ぎてしまい、グレーゾーンギリギリの方法で解雇する、というケースが最近は増えています。従業員は細かい知識も本来守られるべきルールも知らないし、増してや実際にそういう目に会った時には、どこに相談して良いのかも分からない状態なので、言われるままに追いつめられ、結果、職を失うということになるのです。

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