今や老若男女を問わず、愛されるようになったアニメーション。「日本のアニメーションは世界にも受け入れられている」と言われることもあるが、ビジネスとして健全な成功を収められている作品は決して多くない。この連載では現在のアニメビジネスについてデータをもとに分析し、持続可能なあるべき姿を探っていく。
最近のハリウッド映画を見て感じるのは、そのファンタジー&キャラクター志向である。
平凡社の『世界大百科事典』によると、ファンタジーとは「ギリシア語のファンタシア(映像、想像の意)に由来し、一般に幻想を意味するが、文学においては夢想的な物語全般に冠せられる名称」とある。具体的には「非日常」「夢」「空想」「魔法」「妖精」「異次元」「SF」といった、“この世ならざるものや世界”を表現したものと定義できる。
そしてキャラクターとはここでは、特徴的な個性でブランド化していること(続編へつながるようなキャラクター)や、映画以外にもグッズやミュージカル、テーマパークに展開できる性質を持っているということを指す。
次表は2011年の北米興行収入ベスト10である。これを大手映像情報サイト「IMDb」の「Fantasy」「Sci-Fi(SF)」「Animation」といったジャンル分けを参考に、ファンタジー&キャラクター志向の作品は黄色、その傾向がやや薄いものを緑色、ストレートなドラマやアクション、アドベンチャー、コメディを青色に分類すると、6作品が黄色になった。
『ハリー・ポッター』『トランスフォーマー』『トワイライト・サーガ』『パイレーツ・オブ・カリビアン』『カーズ』『マイティ・ソー』については、ファンタジー&キャラクター指向が明確である。『シャーロック・ホームズ』は設定がファンタジー的要素を含んでおり、キャラクターがブランド化されていることから緑にした。一方、青はコメディの『ハングオーバー』『ワイルド・スピード』『ミッション・インポッシブル』の3作品のみである。
そして、この2011年をはさむ2010年と2012年を見ると、ファンタジー&キャラクター志向がベスト10のすべてを占める驚くべき状況になっているのだ。
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