コラム
» 2012年11月20日 08時00分 UPDATE

窪田順生の時事日想:マスコミの言う「政治不信」を真に受けてはいけない (1/2)

かつてに比べると、大きく低下している投票率。特に若者の投票率が低くなっていることについて、マスコミは「政治不信が理由だ」と喧伝するが、それは正しいのだろうか。

[窪田順生,Business Media 誠]

窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


 衆議院議員総選挙が始まる。

 第三極だなんだと騒いでいるので今回はそこそこの投票率になるかもしれないが、ここのところの投票率の落ち込み具合が、えらいことになっていることをご存じだろうか。

 「政権交代」をうたって大盛りあがりした直近の衆議院選挙は69%をマークしたももの、1996年や2003年は6割を下回っているし、参議院議員選挙などは1995年に44%の史上最低をマークして以降も、50%台を推移している。ぶっちゃけ、政治に有権者の半分くらいしか参加していないわけだ。

 特に深刻なのが「若者」だ。さまざまな調査で、20代や30代は半分どころか、「3人に1人」しか投票しないと言われている。

ah_kubota1.jpg 衆議院議員選挙年齢別投票率の推移(出典:明るい選挙推進協会)

 こういうひどい状況に陥った原因を、マスコミはよく「政治不信」なんて言葉で説明する。

 首相がころころ変わるし、相次ぐ閣僚のスキャンダル、経済の閉塞感から若者の心が政治から離れてしまった……うんたらかんたらというのを一度は耳にしたことがあるのではないか。

 ただ、これは「報道話法」というか、政治を語る際の“お約束”みたいな表現なので、あまり真に受けてはいけない。というよりも、信用してはいけない。

 「政治不信」なんてのはさかのぼれば古代ギリシアの時代から存在しているし、昭和の政治家の方が、汚職だ、不倫だというダイナミックなスキャンダルはあった。閉塞感があった時代でも、一定の若者は政治にちゃんと関心を持っていた。

 例えば、宇野宗佑首相がセックススキャンダルで退陣するわ、バブルが崩壊して社会が閉塞感に包まれていたわと最悪の状況だった1991年ですら、投票率は67%をマークしている。1996年に投票率ががくんと落ちこむのは、小選挙区比例代表並立制が導入されたからとも言われているが、他の世代はその後そこそこに回復している。20代と30代層がそのまま投票に行かなくなってしまった理由を、「社会の閉塞感」だけで説明をするのは、年間自殺者が1998年を境にして3万人に急増するのを、「景気が悪いから」のひと言で片付けるのと同じぐらい無理がある。

 じゃあいったい何なのか。社会学者でもないので、さっぱり見当もつかないが、ひとつ気になることがある。かつては隆盛を極めながらも、やはり現在の若者層から「3人に1人」くらいしか支持されなくなったものがある。

 それは、マスコミだ。

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