コラム
» 2012年11月20日 08時00分 UPDATE

「広告文は自分で書け」――福沢諭吉の“広告論” (1/2)

慶應義塾大学創設者であると同時に、時事新報という新聞も創刊した福沢諭吉。その過程で、商人に対して「商いは広告をすべき」と説いていました。

[松尾順,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:松尾順(まつお・じゅん)

早稲田大学商学部卒業、旅行会社の営業(添乗員兼)に始まり、リサーチ会社、シンクタンク、広告会社、ネットベンチャー、システム開発会社などを経験。2001年、(有)シャープマインド設立。現在、「マインドリーディング」というコンセプトの元、マーケティングと心理学の融合に取り組んでいる。また、熊本大学大学院(修士課程)にて、「インストラクショナルデザイン」を研究中。


 慶應義塾大学の創設者、福沢諭吉は、教育者としての評価が高いですね。

 彼は一方で、明治15年に「時事新報」という新聞も創刊しています。同紙は、政党色のない、独立不偏を編集方針としていました。

 そして、福沢は、時事新報の紙面充実と部数拡大に力を入れつつ、「広告の効果」「媒体としての新聞の価値」を繰り返し力説しました。

 実際、彼は、新聞広告を集めるための広告主向け広告にも積極的で、「日本一の時事新報に広告するものは、日本一の商売上手である」と刷ったビラを風船で飛ばしたこともあったそうです。すると、とたんに広告申し込みが殺到したとか。

 さて、彼は明治16年、時事新報の社説に「商人に告るの文」を書いています。

 この社説で展開されているのは、『商いは広告をすべき』という彼なりの「広告論」でした。

 この社説は結局のところ、「新聞広告を出しましょう(出しなさい!)」といういささか説教的な「自社広告」という側面があるのですが、彼の広告論はビジネスの本質を突いています。そこで、この社説から一部を紹介しましょう。

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1.商売繁盛は、「正直」「熟練」「廉価」で客に対応すべきである

2.それを知らせる工夫をしなければ商売繁盛はありえない

3.商いは「人に知られること」が最も大切である

4.人に知られる方法は、まず人通りの多いところに店を開くこと

5.店頭に看板を掲げ、店を飾り、人目につくよう品物を並べ、注意を喚起すべきである

6.人通りの多い場所にポスターを掲げ、さまざまなチラシを配布しなければならない

7.商いには「広告するに適当なチャンス」がある。その機会を見極めるのが肝要である

8.広告文は素人では書けない、有名な筆者に依頼すべきと信じている人が多いが、それはとんでもない間違いだ

9.世の中に手紙が書けない人はいないはず。手紙で自分の意志が通じる人が、広告文を書いて自分の意志ができないはずがない

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