採用担当者を手玉に取る「おねだり就活生」の正体とは!?サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/3 ページ)

» 2012年11月19日 07時19分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]
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就活生はかわいそうという話はもう止めよう

 よく言われる就活都市伝説の中に「エリート就活生は存在する」という話があります。一定レベルの大学に通っている就活生は、ほとんど苦労することなく内定が取れる、という話。手あかがつくほど流通している話なので、いまさら感が満載ですが、この話はほぼ嘘です。この時期の大学4年生の就活を見ていれば分かるのでが、一定レベルの大学に通っていたとしても「決まっていない」就活生は別に珍しくない。本来なら「なにもしなくてもいい」というレベルだといわれているのに、です。一方で、社会人でもそうそうはできない規模のイベントを仕掛けて、平然と「ああいえばこういうトーク」で、セールスをして、協賛金を獲得する就活生もいる。

 世間では「就活というシステムが学生をスポイルしている」とか「就活生はかわいそうだ」とよく言われています。が、それもケースバイケースです。ビジコンに関与している学生が素敵だという話ではありません。そういう学生もいれば、エリートと呼ばれる都市伝説に踊らされて、どこにも就職できない人もいる、という現実をもっと理解してほしいのです。

 ……などと書いてしまうと「誰に理解して欲しいのかね、この筆者は」と思う方もいるでしょう。それは、この連載をたまたま目にしてしまった、皆さんです。就活というワードに興味を持ち、今のままではいけないと、ある種の「もの申したい」人たちは、喧伝されている就活のいろいろよりは、もっと多面的であることも理解しておいてほしいと思っています。

 当たり前ですが、かわいそうな就活生もいれば、そうでない就活生もいる。すべてを一つで考えるのには、無理があるのです。今回、例に挙げたビジコン就活生を「うーん、なんかスレている感じがして、嫌いです」という採用担当者もいます。それを考えると、そういう活動をしているからといって、就活が有利になるわけでもない。この記事を呼んで「うわ、そんな就活生は私も嫌だよ」と思った社会人も少なくないでしょう。企業の採用担当者も似たようなものなのです。

 就活生がかわいそうだ、という話をすると、就活が上手くいっていない就活生や、「ナビサイトに登録して、説明会に参加して、エントリーシートを書いて、面接に行く」というプロセスしか知らずに、就活のシステムに反対している人たちは賛同します。が、その人たちが気持ちよくても仕方がない。大切なのは現状の方法論で「企業は満足いく採用ができているのか」ということ。学生からの視点だけで、現状を否定するのはかなり危険だと、新卒採用の周辺に身を置く一人として、ここでボソッとつぶやいてみるのです。

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