採用担当者を手玉に取る「おねだり就活生」の正体とは!?サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(2/3 ページ)

» 2012年11月19日 07時19分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

 ビジコンは新しいビジネスを考えることがテーマとして設定されるので、企画系を志す学生に人気です。エンジニア領域でも同様のイベントが開催されていますが、そちらも百花繚乱。さまざまなスタイルのコンテストが行われています。企業色の薄いものもあるかと思えば、逆にインターンシップとの連動が図られていて、企業の採用活動に限りなく直結していることが透けて見えるものまで、ケースはいろいろ。そう、企業はあらゆるルートを駆使して、優秀とされる学生にアプローチし、母集団形成に躍起なのです。

 その流れの中で「学生が主催するイベント」がゆるやかに増えています。企業は「サポートする」という立場でそのイベントに乗るのですが、そこで、学生たちの「したたかな姿」が垣間見えるのです。

企業に協賛を依頼する際の学生トークは侮れない

 あるイベントを企画した学生が、別のイベントに協賛している企業に「ぜひうちのイベントにも協賛してほしい」と依頼するとします。通常のイベントであれば、販促担当者や、広報、宣伝部あたりが絡むはずなのですが、このたぐいのイベントの窓口は、なぜか採用担当者であることが多いのです。そういう面からも、これらのイベントの性質が垣間見えますよね。

 学生は、パワーポイントで作成したデータを持って、意気揚々と企業に現れ、プレゼンテーションをします。

学生 「こういうイベントです。何かご質問はありますか?」

採用担当者 「いや、主旨は分かりました。が、弊社の参加するメリットは?」

学生 「自社のメリットだけをお考えにならないでください」

採用担当者 「はあ、どういうことでしょう」

学生 「こういうイベントを開催することで、優秀な学生が育ちます」

採用担当者 「そうですね」

学生 「そこに社会的な意義を感じて、御社に協賛していただきたいのです」

 採用担当者も、自社の採用活動にメリットを感じるイベントなら、費用対効果を考えて協賛するということも視野に入れますが、まったく協賛するメリットがない場合は当然断ります。が、上記のようなトークで「社会的意義」や「CSR的観点から」という言葉を織り込みながら、学生もセールスするのです。

 通常の営業ならにべもなく断れば良いのですが、学生に対して門前払いのようなことをして悪いイメージが付くことを、採用担当者たちは恐れています。なので、あしらう、ということはできません。あくまで、丁寧に応対します。「御社がお金を出す直接のメリットはない、だけど、お金を出すべきだ」という話を、学生からする時代なのですから、なかなかビックリしませんか。

 大手と呼ばれるビジコンのサイトを見るとよく分かりますが、組織もしっかりしていて、運営も立派。イベントも大きな会場を用意して、規模もなかなかのものです。登壇するゲストも「今をときめく」人ばかり。普通の社会人ではここまでのことはできないかもしれません。タマゴが先かニワトリが先かという話になりますが、ビジコンに参加(もしくは運営する)学生が就活に有利であるという話は、先ほどのセールストークを見ても「あー、さもありなんだ」と思っても不思議ではないことでしょう。

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