コラム
» 2012年11月09日 08時00分 UPDATE

ソーシャル時代のリーダーの条件は“己を知ること” (1/2)

米国のビジネス界で新たな経営ツールとして注目を浴びる「戦略的企業文化」。戦略的企業文化経営に着手する上での第一歩となるのが、経営者自身が「己を知る」こと。今回はザッポス社CEOトニー・シェイの「パーソナル・コア・バリュー」を紹介します。

[石塚しのぶ,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:石塚しのぶ

ダイナ・サーチ、インク代表取締役。1972年南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業で職歴を積んだ後、1982年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「『顧客』の時代がやってきた!『売れる仕組み』に革命が起きる(インプレス・コミュニケーションズ)」「ザッポスの奇跡 改訂版(廣済堂)」がある。


 近年、米国のビジネス界では、企業が自社の文化を成り行きに任せるのではなく、戦略的に設計して育成するという「戦略的企業文化」の取り組みが注目されています。全社員のベクトルを合わせることによってもたらされる結束力の向上や現場での意思決定の実践などが、企業力の増強という成果にもつながっています。

 「戦略的企業文化」を組み立てる上での基盤となるのは、企業の社会的存在意義である「コア・パーパス」と「コア・バリュー(中核的価値観)」です。戦略的な企業文化を築こうという際には、まず、「わが社は何のために存在しているのか(どんな価値を社会にもたらすのか)」、そして「会社全体でどういう価値観を共有して意思決定や行動のものさしとしていくのか」を会社ぐるみで考え、定義する必要があります。

 「会社ぐるみで」考えることはもちろん重要ですが、コア・パーパスやコア・バリューには、しょせん創設者や経営者の思いが色濃く投影されるものです。ですから、企業のリーダーがまず今一度我が身を振り返り、自身のコア・パーパスやコア・バリューを明確に定義することが第一歩になります。

 米国のビジネス界で「企業文化」や「コア・バリュー」という言葉を一般化するきっかけを作ったのが靴ネット通販(昨今ではアパレルなどにもカテゴリーを広げていますが)のザッポスであり、CEOであるトニー・シェイの貢献が大きいといえます。そのトニーは、2013年10月に控えた本社移転を機に、ラスベガスのダウンタウンを「情熱のコミュニティ」によって活性化するというまったく新しいタイプの都市計画/町おこしに取り組んでいますが、このメガ・プロジェクトについてリサーチをしていた際に、偶然、トニー自身のパーソナル・コア・バリューに行き当たりました。

 以下がその8項目です。

1.1人では達成できない大きな目標にみんなで取り組む

2.共同体のつながりを育む

3.情熱をもって生きる

4.常にビジョンを持つ

5.自分らしくある

6.いつ何時も意義を考える

7.PLUR(ピース、ラブ、ユニティ、リスペクト)

8.経験は物よりも尊い

 みなさんならこの中のどれがご自身のコア・バリューと重なりますか。私なら、「情熱をもって生きる」でしょうか。

 トニーというのは本当に飾り気のない人で、普段はたいてい、ザッポスのロゴ入りTシャツにジーンズといういでたちですが、物にこだわらない反面、人を「びっくりさせたり、驚かせる」のが大好きで、ザッポスが取引先や社員を集めて年1回行う盛大なパーティではいつも奇想天外なサプライズを用意しています。これは、「経験は物よりも尊い」の反映であると言えるでしょう。

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