伊勢丹のショーウィンドウでは、著名デザイナーがバカラに捧げた言葉をフォントデザインした。とりわけ著名デザイナー自身のイメージフォントが楽しい。
フィリップ・スタルク(Phillippe Starck)さんのフォントは、豪華絢爛なデザインモチーフを展開する彼のイメージそのまま。パトリシア・ウルキオラ(Patricia Urquiora)さんの「ボディライン」フォントには女性の丸み、やさしさとクリスタルの響きが重なる。
人の個性を文字にする。フォントで個性が伸ばされる。それはミュージシャンとともに育ってきた文化でもある。大ヒットした英国シンガーソングライター、アデルのアルバム『21』もハウスインダストリーが手がけた。広告など印刷物だけでなく、人に文字で命を吹き込むのが彼らの仕事である。
彼らはどうやってフォントをつくるんだろう?
それは「手書き」で始まる。筆やカリグラフィーペン(先端が平たいものなど)で、何枚も何枚も書いて仕上げた文字を、スキャンしてPCでリファンしていく。原点でアナログを大事にしながら、デジタルそして工業製品へつなぐ。思えばPCで制作して、デジタル印刷で個性が発揮された絵画作品は滅多にない。
Found MUJIでは11月1日にシルクスクリーン印刷イベントを開催。エコバッグの上に、1周年記念ロゴなどの版を置いて、スキージ(ゴムベラ)でインクを網目から押し出して刷る。昔の謄写(とうしゃ)版みたいなものだ。実際の仕事でも彼らはこのスクリーン印刷で、布や板や陶器に刷る。その仕事の原点には手刷りもある。
ではそのフォントの素はどうやって生まれるのだろう? それは「自宅から」なのだ。
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