さらに過酷なのが、長距離移動と超過密スケジュール。メジャーリーガーはビジターへ移動の際に球団所有の専用機を使用することができるが、マイナーリーガーはそうもいかない。基本はバス移動だ。
試合終了直後の午後11時過ぎにバスに乗り込み、夜通し走って翌朝の午前8時に遠征地へ到着することも決して珍しくはない。当日のナイターは2〜3時間程度の仮眠しか取れず、ヘロヘロのままでグラウンドに立たなければならない場合もある。
バスの後方ではラティーノの選手たちが音楽を聴きながら、周りの迷惑を顧みずに踊っているなんてことも……。これでは満足に眠れるわけがない。かつてマイナーリーグを経験した松井秀喜(前レイズ)や岡島秀樹(現ソフトバンク)が「マイナーとメジャーは雲泥の差。本当に過酷なところ」と口をそろえていたのもうなずける。
大谷は米テレビ局「NBCスポーツ」の電子版で、去就が注目されるFA選手格付けランキングの30位と高く評価されるなど全米でも注目を集めている。MLBの球団と契約すればドラフト1位クラスと同等の「VIP待遇」になるのは間違いなく、専属通訳も付くだろう。しかし、厚遇されればされるほど周囲や同僚からの風当たりは激しさを増すことになる。
憧れの世界では「ビッグ・マネー」を得られる半面、本人の想像を絶するような試練が待ち受けている。それでもメジャー挑戦の夢を貫くのか。あるいは日本ハム入団へ心変わりするのか。人生の岐路に立たされた18歳の若者は、今後しばらく悩める日々が続くことになりそうだ。
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